1ドル=161円超えで「歴史的円安」に肉薄…米利上げ観測は円安要因も、日本の“断固たる措置”でドル円反転なるか【今週の米ドル/円予想レンジ「157~162円」の根拠】

6月23日~6月29日の「FX投資戦略」ポイント

1ドル=161円超えで「歴史的円安」に肉薄…米利上げ観測は円安要因も、日本の“断固たる措置”でドル円反転なるか【今週の米ドル/円予想レンジ「157~162円」の根拠】
(※画像はイメージです/PIXTA)

4月30日に日本政府が為替介入を行ったとみられるタイミングは、日銀の金融政策決定会合とFOMCという日米金融政策発表が終わった直後でした。ところが先週は、ドル円が161円を超える円安となり、同じように日米の政策発表があったにもかかわらず、為替介入は確認されませんでした。では、日本の「円安阻止方針」に変化はあったのでしょうか。マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏が先週の相場展開を振り返るとともに、今週のドル/円相場を予想します。

円安阻止の方針変わらずか…「断固とした措置をとる」再び

日本の通貨当局は4月30日、米ドル/円が160円を大きく上回った局面で、円安阻止のための米ドル売り・円買い介入に踏み切ったとみられています。このタイミングは、4月28日の日銀金融政策決定会合、29日のFOMCと、日米の金融政策発表が終了した直後でもありました。

 

先週も、16日の日銀会合、17日のFOMCを経て米ドル高・円安が160円を超えて進んだことから、円安阻止介入再開の可能性が注目されましたが、これまでのところ介入は確認されていません。

 

こうした状況について、片山財務大臣は今月19日、「投機的な動きがあれば断固とした措置(為替介入の意と理解されている)をとるということにつきます」と述べました。

 

投機的米ドル買い・円売りは4月末の介入局面より拡大

では、「投機的な動き」はどうなっているのでしょうか。CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、投機筋の円ポジションは、4月30日の介入前は売り越しが9万枚でしたが、6月9日時点では14万枚に拡大しています(図表5参照)。

 

また、同じ期間の米ドルのポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルを対象に試算)は、買い越しが9万枚から29万枚に大きく拡大しました(図表6参照)。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表5]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表6]CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2024年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

これらは、経験的には円“売られすぎ”、米ドル“買われすぎ”懸念が強まったことを示すものです。その意味では、4月30日に円安阻止介入が行われた時点よりも、現在のほうが「投機的な米ドル買い・円売り」が強まっている可能性があります。

 

それにもかかわらず、先週の局面で為替介入という「断固とした措置」が取られなかったとすれば、片山大臣の発言を踏まえる限り、あくまでテクニカルな事情によるものであり、「160円を大きく超える円安は容認しない」という方針には変わりないと考えるのが自然でしょう。

今週の米ドル/円は「157~162円」と予想

今週は、PCEコアデフレータなど重要な米インフレ指標発表が予定されており、その結果しだいで米利上げの早期化や連続利上げの見方が試されることになりそうです。

 

米金利上昇および日米金利差拡大は米ドル高・円安要因ですが、一方で日本政府の「160円を大きく超える円安を容認しない」という方針に変わりないのであれば、円安阻止介入はいつ再開してもおかしくありません。仮に介入が行われた場合、経験的には5円程度と大きく円高に動く可能性があります。

 

以上を踏まえ、今週の米ドル/円は「157~162円」と予想します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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