国際金融都市が持つ吸引力
シンガポールはアジア有数の国際金融センターとしての地位を確立しています。世界的な銀行や証券会社、資産運用会社、プライベートバンクが集積し、富裕層向けサービスも充実しています。
また、日本から比較的近距離に位置していることも大きな利点です。時差が少なく、日本との行き来もしやすいため、ビジネスや家族との関係を維持しながら生活拠点を移すことが可能です。
こうした環境が、国際的に活動する経営者や投資家を引きつけています。
世界で続く相続税をめぐる議論
相続税については世界各国で議論が続いています。相続税を設けていない国や地域も少なくなく、税率を引き下げる国もあれば、格差是正の観点から維持・強化する国もあります。
つまり、相続税の是非について世界的なコンセンサスが存在するわけではありません。各国は経済成長や投資促進、財政事情などを踏まえながら、それぞれの税制を設計しています。
課税強化だけでは防げないキャピタルフライト
政府にとって税収確保は重要な課題です。しかし、税率を引き上げるだけで税収が増え続けるとは限りません。
資産や人材が国境を越えて移動しやすくなった現在、税制は国際競争力の一部となっています。企業や富裕層は税率だけで移住を決めるわけではありませんが、税制が重要な判断材料であることは間違いありません。
過度な課税強化は、資産だけでなく起業家精神や投資マネーの流出を招く可能性があります。
日本に必要なのは税収確保と競争力の両立
人口減少と少子高齢化が進む日本において、財政の安定化は避けて通れない課題です。一方で、富裕層や起業家、投資家が国内で活動し続けられる環境を維持することも同じくらい重要です。
求められるのは「課税強化か減税か」という二者択一ではありません。税収確保と国際競争力の両立を図る制度設計が必要です。
資産や人材が世界規模で移動する時代において、日本が持続的な成長を実現するためには、富裕層を単なる課税対象として見るのではなく、投資や雇用を生み出す存在としてどう国内に引き留めるかという視点がますます重要になっています。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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