超富裕層への5%課税は是か非か――建国250年を迎えた米国で揺れる富裕税論争【国際税理士が解説】

超富裕層への5%課税は是か非か――建国250年を迎えた米国で揺れる富裕税論争【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国建国250年という節目の年に、カリフォルニア州では超富裕層への「富裕税」をめぐる議論が大きな注目を集めています。純資産10億ドルを超える富裕層に対し、一度限り5%を課税する構想は、財政再建や所得格差の是正を目的とする一方で、人や資本の流出を招くとの懸念も指摘されています。富裕税をめぐる議論は、日本の税制や資産課税を考える上でも示唆に富んでいます。『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』の著書がある奥村眞吾税理士が詳しく解説します。

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超富裕層への5%課税が全米で波紋

カリフォルニア州では現在、純資産10億ドル(約1,600億円)を超える超富裕層を対象に、一度限り5%を課税する構想が議論されています。背景には州財政の悪化や所得格差の拡大があります。賛成派は「社会全体で富を分かち合うために必要な措置」と主張する一方、反対派は「企業や投資家の州外流出を加速させ、結果として税収の減少を招く」と警鐘を鳴らしています。

 

実際、カリフォルニア州では近年、高い所得税率や生活費の上昇を背景に、多くの企業経営者や超富裕層がテキサス州やフロリダ州へ居住地を移す動きが続いています。税制が人や資本の移動に影響を与えることは、もはや理論ではなく現実の問題となっています。

建国250年に改めて問われる建国の父の思想

こうしたなか、民主党のカリフォルニア州知事は建国250周年の演説で、建国の理念は富の集中を防ぎ、民主主義を守ることにあったと強調しました。

 

これに対し、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は建国の父の一人であるジェームズ・マディソンの思想を取り上げ、「建国の父たちが最も警戒したのは、富そのものではなく、政治権力が一部に集中することだった」と論じていました。

 

もちろん、今日の富裕税論争を18世紀の建国思想だけで結論づけることはできません。しかし、建国250年という節目だからこそ、米国がどのような理念の上に国家を築いてきたのかを改めて考えるべきだというのが、WSJの問題提起です。

 

 

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