連邦裁判所が基金設立を凍結
こうした批判を受け、連邦裁判所は基金の公平性に重大な疑問があるとして、6月に予定される審理まで基金設立を凍結するよう命じました。
裁判所は、「基金の恩恵を受ける対象が特定の政治勢力に偏る可能性がある」との懸念を示しています。
今後の審理では、基金設立の法的根拠や憲法との整合性が大きな争点になるとみられています。
ホワイトハウス増築計画でも税金投入論争
基金問題と前後して、トランプ政権はホワイトハウス東棟(East Wing)に新たなボールルームを建設する計画も打ち出しました。
建設費と警備費を合わせた予算は10億ドルとされています。
当初、トランプ大統領は支持者からの寄付で費用を賄う考えを示していました。しかし、その後に発生したホワイトハウス襲撃計画事件を受け、「警備強化のためには公費負担が必要だ」と主張するようになりました。
これに対し民主党は、「結局は国民の税金を使うことになった」と批判しています。また、インフレや中東情勢の緊迫化による生活負担増が続くなかで、大規模な追加支出は国民の理解を得られないとして、一部の共和党議員も反対姿勢を示しています。
「メキシコが払う」と言われた国境の壁と同じ構図
こうした状況に既視感を覚える米国人も少なくありません。
第1次トランプ政権時代、トランプ氏はメキシコ国境の壁建設について、「費用はメキシコ政府に負担させる」と繰り返し主張していました。しかし、最終的にはその多くが米国の財政支出によって賄われました。
今回の基金問題やホワイトハウス増築計画についても、「最終的には国民の税金が使われる」という点で同じ構図だとの指摘があります。
米国人は「税金の使い道」に敏感
今回の騒動を理解するうえで重要なのは、米国人の税金に対する意識の強さです。
米国では、多くの市民が毎年確定申告を行います。そのため、自分がどれだけ税金を納めているのかを強く意識しています。
日本では政府支出について「予算の無駄遣い」という表現が使われることが一般的ですが、米国では「Taxpayer Money(納税者のお金)」という表現が頻繁に使われます。
つまり、「政府のお金」ではなく、「自分たちが納めた税金がどのように使われているのか」という視点で議論が行われるのです。
今回の18億ドル基金を巡る論争は、単なるトランプ政権の政治問題ではありません。税金の使い道を誰が決めるのか、そして行政権力に対して司法がどこまで歯止めをかけられるのかという、米国民主主義の根幹に関わる問題でもあります。
今後の裁判の行方は、基金そのものの是非だけでなく、米国における「税金」と「政治」の関係を考える上でも大きな注目を集めることになりそうです。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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