トランプ氏の「18億ドル基金」に全米騒然...税金で支持者を救済?司法と政治の境界線が問われる【国際税理士が解説】

トランプ氏の「18億ドル基金」に全米騒然...税金で支持者を救済?司法と政治の境界線が問われる【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

トランプ大統領がIRS(内国歳入庁)と財務省を相手取り、自身の納税情報漏洩を巡って提起していた100億ドルの損害賠償訴訟が、突然の和解によって幕を閉じようとしています。しかし、その和解条件として浮上した18億ドル規模の基金が、新たな政治・司法論争を引き起こしています。基金の対象には1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件の関係者も含まれるとされ、共和党・民主党の双方から「税金の無駄遣い」との批判が噴出しています。連邦裁判所は基金設立の凍結を命じる事態となり、法廷闘争へと発展しました。4月末に『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』を刊行した奥村眞吾税理士が解説します。

「政治的迫害の被害者」は誰が決めるのか

司法省によると、基金の対象者には以下のような人々が含まれるとされています。

 

・IRSから不適切な扱いを受けたとされる人

・バイデン政権時代の法律によって不利益を被ったと主張する人

・2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件に関係したトランプ支持者

 

対象者の認定は、司法長官が任命する5人の委員会によって行われる予定です。

 

司法長官は、「トランプ大統領本人やその家族が基金から直接支払いを受けることはない」と説明しています。しかし、誰を救済対象とするのかという基準が不透明であることから、公平性を疑問視する声も少なくありません。

 

また、この基金は、2001年の同時多発テロ後に設立された「9.11被害者補償基金」のように議会の承認を受けて創設された制度ではありません。その点も批判の対象となっています。

議事堂襲撃事件の関係者を救済する基金なのか

基金創設が発表されると、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件当日に警備に当たっていた警察官2人が、直ちに基金設立の差し止めを求める訴訟を提起しました。

 

原告側は、この基金が実質的に議事堂襲撃事件に関与した人々を支援するための仕組みになっていると主張しています。

 

さらに、米国憲法修正第14条は、合衆国に対する反乱や暴動に関連して発生した債務を政府が負担することを禁じていると解釈できるとして、基金の違憲性を訴えています。

 

原告らは、「この基金は議事堂襲撃に関与した準軍事的組織を支援するための裏口的な資金供与だ」と批判しています。

 

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