子どもが独立し、夫婦だけの暮らしが続く老後。そんな日々のなかで、ペットを「家族以上の存在」と感じるシニアは少なくありません。自分の食費や医療費は切り詰めても、“我が子”のためならお金を惜しまない――。愛情の裏側で、老後資金が減っていくシニア世帯の実情とは?

“我が子”を最期まで面倒見るために

チョコちゃんを迎え入れたのは、2人の子どもが相次いで独立したことがきっかけ。いわゆる「空の巣症候群(からすしょうこうぐん)」で塞ぎ込んでいた恵子さんを見かねて、夫が提案してくれたものです。

 

子どもが自立し、社会との繋がりが薄れた人にとって、ペットは単なる愛玩動物を超え、「自分を無条件で肯定し、必要としてくれる唯一の存在」になることがあります。それ自体に問題はありませんが、その深い愛情が、身の丈に合わない過剰な消費に結びついてしまえば、話は変わってきます。

 

近年、ペットフードの原材料高騰や獣医療の高度化により、ペットの維持費自体も上昇しています。「長生きのため体に良いものを与えたい」「可愛い姿でいてほしい」という親心。限られた年金収入で暮らしているにも関わらず、自分の健康維持費や娯楽費を削って、ペットにお金を注いでしまう――。

 

「エアコン代がもったいないから自分の寝室は我慢するが、犬のためにリビングは24時間つけっぱなしにする」「自分の歯医者の通院は先延ばしにするが、犬の歯石除去には数万円払う」

 

しかし、もし飼い主であるシニア自身が経済的に破綻したり、健康を害して入院することになれば、その「我が子(ペット)」を守ることはできません。ペットへ愛情をかけることは、もちろん悪いことではありませんが、共倒れを防ぐためには冷静な線引きをすることが必要です。

 

恵子さんのケースでいえば、おやつや洋服などの変動費を見直すこと。フードやトリミングは健康に直結するので削りにくいかもしれませんが、おやつや洋服はコントロールしやすい部分です。

 

「この子がいない人生なんて考えられない」――そう語るシニアこそ、まずは自分自身の家計を固めるべきです。自分が健康で、経済的に安定していること。それこそが、愛する“我が子”を最後まで、責任を持って看取るための、最大の条件なのです。

 

 

 

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