築40年の戸建てを手放し、駅近の賃貸住宅へ
「家を売って本当に正解でした。もっと早くてもよかったくらいです」
73歳の和夫さんは、妻の洋子さん(71歳)と暮らす賃貸マンションのリビングで、そう笑いました。
夫婦が以前住んでいたのは、和夫さんが40代のころに購入した郊外の戸建てです。二人の娘を育て、住宅ローンも定年前に完済しました。ところが、娘たちが独立してからは2階の子ども部屋をほとんど使わなくなり、庭の手入れや外壁の補修が重荷になっていました。
「お父さんが脚立に乗るたび、落ちるんじゃないかと心配でした。雨戸の開け閉めだけでも大変になっていましたから」
洋子さんが売却を提案したのは、和夫さんが70歳を迎えたころでした。和夫さんは当初、「持ち家がなくなったら落ち着かない」と反対しましたが、屋根と水回りの修繕見積もりを取り、考えが変わります。今後10年で数百万円単位の費用がかかる可能性があると分かったためです。
夫婦は不動産会社3社に査定を依頼し、約8ヵ月かけて自宅を売却。仲介手数料などを差し引き、手元には約2,400万円が残りました。引っ越し先に選んだのは、駅から徒歩7分、スーパーと診療所にも歩いて行ける2LDKの賃貸マンションです。
家賃と管理費は月約12万円。夫婦の年金収入は月27万円ほどで、家賃を払えば余裕がなくなるようにも見えます。しかし、戸建て時代にかかっていた固定資産税、火災保険、車2台の維持費、庭木の剪定費などを整理すると、年間支出の差は想像より小さかったといいます。
国土交通省『令和5年住生活総合調査(確報集計)』では、住み替えの理由として、住宅の広さや使いやすさだけでなく、通勤・通学や買い物などの利便性も挙げられています。高齢期の住み替えでは、徒歩で生活を完結できる環境かどうかも重要になります。
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