「父のせい」だけではなかった…息子が悔やんだ見落とし
裕次さんは、役所へ連絡しました。
担当者からは、未納が続くと滞納処分として財産の差押えに進む可能性があること、ただし生活状況によっては分納相談や猶予の相談ができる場合もあることを説明されました。
公的年金そのものには差押禁止の考え方がありますが、税や保険料の滞納では一定のルールに基づき、預貯金などが差押えの対象になることがあります。国税徴収法の基本通達でも、給与や年金等について差押禁止額の考え方が示されています。
父の口座が差押えられたり、支払いがさらに難しくなったりすれば、ただでさえ不安定な暮らしが一気に崩れてしまいます。
「赤い封筒を見たときに、ちゃんと確認していれば」
裕次さんは何度もそう思ったといいます。
義男さんは、最近もの忘れが増えていました。通帳の記帳も遅れ、薬の飲み忘れもありました。郵便物を整理する力が落ちていたことは、今思えば明らかでした。
「もう一人では処理できなかったのかもしれません」
裕次さんは、地域包括支援センターにも相談しました。郵便物の確認、支払い管理、見守りサービス、必要に応じた日常生活自立支援事業の利用について話を聞きました。
さらに、役所で分納の相談を行い、滞納分を一括で払えない事情を説明しました。今後の納付については、裕次さんも一緒に確認することになりました。
義男さんは、申し訳なさそうに言いました。
「迷惑かけたな」
裕次さんは首を振りました。
「もっと早く一緒に見ればよかった」
持ち家でも、固定資産税や介護保険料、医療費、修繕費はかかります。さらに、支払い能力だけでなく、書類を読み、期限を把握し、手続きする力も少しずつ落ちていくことがあります。
困りごとを早めに見つけ、一緒に確認できる人の存在が、高齢期の暮らしを支える大きな安心につながることもあるのです。
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