アメリカは「税金で人が動く国」
興味深いのは、この税制が「人の移動」に影響を与えている点だ。
アメリカでは州ごとに税率や医療制度、補助金制度が異なる。住民税ゼロの州もあれば、高税率州もある。今回のSALT控除拡大によって、「高税率州に住むデメリット」が一部相殺されることで、居住地選択にも変化が生じ始めている。
つまりアメリカでは、「どこに住むか」がそのまま「どれだけ手取りが残るか」に直結しているのである。
一方、日本では北海道に住もうが、沖縄に住もうが、八丈島に住もうが、所得税率は原則として同じだ。行政サービスやインフラが集中する東京に人が集まり続けるのも、ある意味では当然ともいえる。
東京一極集中を変える鍵は「税制」か
日本では地方創生政策として、補助金や移住支援制度が数多く実施されてきた。しかし、生活コストや手取り額に大きな差がなければ、人の流れを根本的に変えることは難しい。
もし東京一極集中を本気で是正したいのであれば、「この地域に住めば、これだけ手取りが増える」という明確なインセンティブを地方に設ける必要があるのではないか。
アメリカの税制を見ると、税負担の差は単なる財政政策ではなく、人や企業の流れを左右する“移住政策”として機能していることがよくわかる。
税制は、単に税金を集める仕組みではない。「人をどこに住まわせるのか」を決める力も持っているのである。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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