民主党支持者も“トランプ減税”を歓迎?…高税率州で広がる「SALT控除」の恩恵と人の移動【国際税理士が解説】

民主党支持者も“トランプ減税”を歓迎?…高税率州で広がる「SALT控除」の恩恵と人の移動【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

トランプ政権による減税政策が、意外な層に恩恵をもたらしている。これまでトランプ大統領を支持してこなかった高所得の民主党支持者たちが、州税や固定資産税を大幅に所得控除できる「SALT控除」拡大によって、多額の税還付を受け始めているのだ。背景には、州ごとに税率や制度が大きく異なるアメリカ特有の税制がある。税金の違いが人の移動や居住地選択にまで影響を与えるアメリカの現実は、日本の東京一極集中問題にも示唆を与えている。4月末に『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』を刊行した奥村眞吾税理士が、米国の還付制度について解説します。

「トランプに耐えたご褒美」…民主党支持者の本音

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、所得税還付額はカリフォルニア州で21%増、バージニア州で13%増、メリーランド州で12%増加した。

 

一方、州所得税のないフロリダ州やテキサス州では、それぞれ6%増、5%増にとどまった。固定資産税の負担はあるものの、もともと州税が存在しないため、控除拡大による恩恵が限定的だったためとみられている。

 

WSJの取材に応じたマサチューセッツ州の住民は、年間2万4,000ドル(約360万円)の固定資産税を支払っているが、「トランプに耐えなければならなかったことへの“贈り物”だ」と語った。民主党支持者であっても、減税メリットを歓迎している実態が浮かび上がる。

労働者向け減税も打ち出すトランプ政権

トランプ政権は、富裕層向け減税だけではなく、残業代やチップ収入への非課税措置など、労働者向け減税も打ち出している。

 

共和党は従来、「富裕層優遇」のイメージが強かった。しかし現在は、中間所得層やサービス業従事者などにも減税メリットを訴えることで、一部の民主党支持層の取り込みを進めている。

 

もっとも、このSALT控除拡大には条件もある。対象となるのは、州税・地方税、住宅ローン利息、慈善寄付金などの合計が標準控除額を超える人だ。標準控除額は、単身者で1万5,750ドル、夫婦合算で3万1,500ドル。また、所得が60万ドル(約9,000万円)を超えると、控除上限は再び1万ドルへ縮小される。

 

その意味で、この制度は「超富裕層」よりも、高税率州に住む高所得の中間層に強い恩恵を与えているのである。

 

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