「手取り18万円なら何とかなる」と思っていた母
美穂さん(仮名・52歳)は、大阪で一人暮らしをする娘・梨花さん(仮名・22歳)の部屋を、半年ぶりに訪ねました。
梨花さんは短大卒業後、大阪市内の会社に就職。手取りは月18万円ほどです。家賃は5万8,000円。さらに光熱費、通信費、食費、交通費、奨学金の返還がありました。
梨花さんは、電話ではいつも明るく話していました。
「大丈夫。節約してるから」
「自炊もしてるよ」
その言葉を信じていた美穂さん。しかし違和感を覚えたのは、部屋に入ってすぐでした。
玄関には、何日分かのレシートが丸めて置かれていました。部屋は散らかっているわけではありません。むしろ、物が少なすぎるほどでした。
冷蔵庫を開けると、中にあったのは卵、豆腐、もやし、冷凍ご飯、半分だけ残った納豆。冷凍庫には、安売りの食パンが数枚入っていました。
「ちゃんと食べてるの?」
美穂さんが聞くと、梨花さんは笑って答えました。
「食べてるよ。最近は節約ごはんにハマってるだけ」
しかし、棚にはインスタント味噌汁とカップ麺が並んでいました。美穂さんは、胸がざわついたといいます。
総務省『家計調査(2025年)』によると、単身世帯の消費支出は3年連続で実質減少しています。物価が上がるなか、単身世帯が支出を抑えながら暮らしている状況がうかがえます。
「なんでこんな暮らしを…」
美穂さんは、思わずそう漏らしてしまいました。
梨花さんは、最初は笑ってごまかしていました。しかし家計簿アプリを見せてもらうと、生活の厳しさがはっきり分かりました。
手取り18万円のうち、家賃で5万8,000円。光熱費と通信費で約2万5,000円。奨学金返還が1万5,000円。通勤や仕事関係の支出、日用品代を引くと、食費に回せるお金は限られていました。
さらに、友人の結婚式や職場の飲み会、服や美容院代などもあります。どれも派手な支出ではありません。けれど、22歳の社会人として生活していくには、削りにくいお金でもありました。
「外食してる友達を見ると、いいなって思う。でも、同じように使ったら月末が怖い」
梨花さんは、ようやく本音をこぼしました。
