「年金だけでは足りない」という母へ、毎月8万円を送金
浩司さん(仮名・53歳)は、78歳の母・文子さん(仮名)へ、毎月8万円を仕送りしていました。
文子さんは5年前に夫を亡くし、住宅ローンを完済した戸建てで一人暮らしをしているはずでした。受け取る年金は月11万円ほどです。
仕送りが始まったのは、父親の死後半年ほどたったころでした。
「電気代も食べ物も高くなったでしょう。年金だけでは心細いの」
文子さんに頼まれ、浩司さんは月5万円を送ることにしました。その後、「給湯器が壊れた」「固定資産税がある」と頼まれるたびに金額が増え、最終的には月8万円になりました。
浩司さんにも住宅ローンがあり、大学生の娘の学費もかかっています。それでも、母が食費を削っているのではないかと思うと断れませんでした。
「また来月も仕送りをお願いね」
電話の最後にそう言われるたび、浩司さんは「わかった」と答えました。
ある日、浩司さんが家計の確認を提案すると、文子さんは不機嫌になりました。
「自分のお金の使い方くらい、自分で決められます」
浩司さんは、母の自尊心を傷つけたと思い、それ以上聞けませんでした。
総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』によると、65歳以上の単身無職世帯では、月平均の実収入が13万1,456円、可処分所得が11万8,465円、消費支出が14万8,445円でした。平均では可処分所得を消費支出が約3万円上回っています。
仕送りを始めて4年目の夏、文子さんから「今月は少し早く振り込んでほしい」と連絡がありました。理由を尋ねても、「急な支払いがある」としか答えません。
不安になった浩司さんは、事前に知らせず実家へ向かいました。
玄関を開けたのは、母ではありませんでした。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
そこに立っていたのは、浩司さんと長く疎遠になっていた48歳の妹・由香さん(仮名)でした。
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