「完全に老害だぞ」旧友の指摘で胸に広がった“羞恥”
隆一さんのもとに、旧友からの食事会の誘いが来ました。久々にスーツへ袖を通し、鏡の前に立つ。ホテルのラウンジで再会した旧友たちも、どこか嬉しそうでした。
「おお、変わってない…ことはないか(笑)」
「懐かしいなぁ」
しかし、その帰り際。会計を担当した若いスタッフの説明に、隆一さんは強い口調でこう諭しました。
「君、説明がわかりにくいな。接客業なんだから、もっと丁寧にしなさいよ」
スタッフが恐縮しながら頭を下げた、 その時。隣にいた旧友が口を挟みました。
「ごめんなさいね。こいつ、酔ってるのかも。気にしないで、おいしかったです」
そして、店を後にしながら、こう言われました。
「お前……いつもそんななのか? 普通の接客だっただろ。友達だから言うけど、完全に老害だぞ」
帰宅後、静まり返ったリビングで、自分が店員に注意をして密かに満足する姿を思い返した、隆一さんを羞恥が襲ったといいます。
「老後はゆっくり」が想像以上に長くなることも
日本最大の産業別労働組合であるUAゼンセンの「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査(2020年)」によると、迷惑行為をしていた顧客の性別は男性74.8%、女性23.4%でした。
推定年齢を見ると、40歳代が18.9%、50歳代が30.8%、60歳代が28.0%、70歳代以上が11.5%。10~30歳代までは10.8%です。これらの調査からは、悪質クレーム(迷惑行為)を行う割合は男性が多めであり、また、年齢層が比較的高いことが見て取れます。
さらに、現役時代に高い役職や肩書きを持っていた人ほど、その傾向が強いとの指摘も見られます。退職後の居場所を見つけられなかった人が、孤独感や疎外感を埋めるようにクレームへ依存。「シルバーモンスター化」してしまうケースもあります。
「老後はゆっくり」と考えていても、その時間は想像以上に長くなる可能性もあります。それは、お金だけで埋められるものでもありません。長い時間をどう過ごし、社会とどうつながるのか。孤独を間違った形で埋めないように、早くから考えておきたいものです。
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