(※写真はイメージです/PIXTA)

家族旅行は、本来なら楽しい時間のはずです。親孝行を兼ねて義母を誘い、子どもも含めて思い出を作る。そうした旅行は、家族のつながりを深める機会にもなります。しかし、同じ時間を長く過ごすほど、食事、移動、部屋割り、会話の気遣いなど、普段は見えない負担が誰か一人に偏ることもあります。

「気を遣わなくていいと言われるほど…」義母を含めた家族旅行

美咲さん(仮名・42歳)は、夫の母・和枝さん(仮名・72歳)を含めた家族旅行に出かけました。行き先は九州の温泉地。夫の亮介さん(仮名・44歳)、小学生の娘、そして義母との4泊5日でした。

 

きっかけは、亮介さんの一言でした。

 

「母さんも最近一人だし、一緒に連れていってあげようよ」

 

義父を数年前に亡くした和枝さんは、一人暮らしを続けていました。美咲さんも、義母を誘うこと自体に反対ではありませんでした。

 

「親孝行になるならいいかなと思いました」

 

旅行前、和枝さんは何度も言いました。

 

「気を遣わなくていいからね」

 

その言葉に、美咲さんは笑ってうなずきました。しかし、実際に旅行が始まると、“気を遣わない”ことは簡単ではありませんでした。

 

食事の店を選ぶときは、義母が食べられるものを考える。移動では歩く距離を気にする。旅館では部屋の温度や布団の硬さを確認する。観光地では、義母が疲れていないか常に目で追う。

 

亮介さんは楽しそうでした。

 

「母さん、来られてよかったな」

「美咲、次どこ行く?」

 

悪気はありません。しかし、細かな調整をしているのは、ほとんど美咲さんでした。

 

「私も旅行に来ているはずなのに、ずっと段取り係みたいでした」

 

総務省『社会生活基本調査』では、家庭内の家事や育児、介護などの無償労働時間には男女差があることが示されています。旅行のような非日常でも、家族の予定調整や気配りといった“見えにくい負担”が女性側に偏ることがあります。

 

2日目の夜、和枝さんがまた言いました。

 

「本当に、気を遣わないでね」

 

美咲さんは、その言葉にかえって疲れてしまったといいます。

 

「気を遣わなくていいと言われるほど、気を遣っている自分が浮き彫りになる感じでした」

 

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