「老人ホーム探し」すぐに入れると思っていたが…
浩司さん(仮名・49歳)は、妻と高校生の娘と暮らす会社員です。車で1時間ほどの実家では、82歳の母・信子さん(仮名)が一人で生活していました。
以前は身の回りのことを自分でこなしていた信子さんですが、数ヵ月前から同じ食品を何度も買ったり、通院日を忘れたりすることが増えました。ある日、近所の人から連絡が入ります。
「お母さんがゴミ出しの日を間違えて、外で困っていたよ」
実家を訪ねると、冷蔵庫には賞味期限の切れた食品が並び、薬も飲み残していました。
「一人で暮らすのは、もう難しいんじゃないか」
浩司さんが言うと、信子さんは顔を曇らせました。
「施設なんて嫌よ。まだ何でも自分でできる」
しかし、浩司さんには毎日通うことはできません。仕事では部下を抱え、娘の教育費もかかります。妻もフルタイムで働いており、同居するにも家の広さや通勤の問題がありました。
「施設に入ってもらうしかない。でも、何をすればいいんだろう」
浩司さんはインターネットで「老人ホーム」と検索しました。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅。似た名称が並び、違いがわかりません。
費用も月十数万円から数十万円まで幅があります。とりあえず自宅近くの特別養護老人ホームに電話すると、職員から尋ねられました。
「お母さまの要介護度はいくつですか」
浩司さんは答えられませんでした。信子さんは要介護認定を受けていなかったのです。さらに、特別養護老人ホームへの新規入所は原則として要介護3以上だと説明されました。
厚生労働省『介護サービスの利用のしかた』によると、介護保険サービスを利用するには、まず市区町村の窓口で要介護・要支援認定を申請し、認定調査や主治医意見書などを経て要介護度の判定を受けます。施設を探す前に必要な手続きがあることを、浩司さんはこのとき初めて知りました。
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