「夕飯いらないなら連絡よこしなさいよ」年金月23万円の60代夫婦、実家に戻ってきた40歳息子と喧嘩の毎日だが…息子が荷物をまとめた朝、「行かないでくれ」とボロ泣きしたワケ。親が抱える〈残酷な弱み〉

「夕飯いらないなら連絡よこしなさいよ」年金月23万円の60代夫婦、実家に戻ってきた40歳息子と喧嘩の毎日だが…息子が荷物をまとめた朝、「行かないでくれ」とボロ泣きしたワケ。親が抱える〈残酷な弱み〉
(※写真はイメージです/PIXTA)

物価高や賃金の伸び悩み、はたまた働きながらの家事負担など、さまざまな理由から、社会人になっても子が親と同居するケースが増えています。親にとっては、大事に育てた我が子と再び暮らせることは喜ばしいことですが、なかには「自分たちの金銭的事情」から子どもの出戻りを歓迎する親も……。本記事では高橋親子(仮名)の事例とともに、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が親子関係に潜む「老後資金不足」の危険性とその対策について解説します。※本記事は実話をベースに構成していますが、プライバシー保護のため、個人名や団体名、具体的な状況の一部を変更しています。

「老後資金不足」が健全な親子関係を壊す

総務省「家計調査(2024年)」によると、高齢夫婦無職世帯の平均的な実収入は月25万円程度である一方、消費支出は約28万円前後となっており、多くの世帯が年金だけでは赤字になっています。

 

また、内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査」でも、公的年金だけで十分な生活費を賄うことは難しく、貯蓄の取り崩しや就労収入に頼る高齢者が多い現状が示されています。こうした背景から、子どもと同居し、その収入をあてにする家庭も少なくありません。

 

しかし、本来、老後の生活は「自分たちの年金と資産」で成り立つよう準備しておくことが基本です。

 

もし年金だけでは不足するのであれば、毎月いくら不足しているのか、何歳まで働く必要があるのかを把握し、支出の見直しや収入の確保など、赤字を生まない家計の状態をつくっておく必要があります。

 

さらに近年では、公的年金を最長75歳まで繰り下げて受給額を増やす制度もあるほか、パートやアルバイトなどで不足分を補うという選択肢もあります。「なんとなく不安」なまま過ごすのではなく、数字で現状を把握し、対策をとることが重要です。

 

もし、子どもがいないと生活が成り立たない状態が続けば、親は知らず知らずのうちに子どもへ依存するようになり、その結果、必要以上に子どもの行動へ口を出したり、逆に自分たちの思いを言い出せなくなったりすることもあります。

 

健全な親子関係を保つためにも、現役時代から老後資金について計画的に考えておくことが重要です。

 

老後の備えが親子関係を守る“盾”に

今回の和夫さん夫婦のケースは、一見すると「親子関係の問題」のようでありながら、実際にはその背景に「老後資金不足」という経済的な課題がありました。もし十分な貯蓄や収支の見通しがあれば、息子との距離感や関わり方も違っていたかもしれません。

 

子どもを支えるつもりが、いつの間にか子どもに生活を支えられる側になってしまうような状況は、親子双方にとって大きなストレスになります。もちろん、家族で支え合うこと自体は悪いことではありませんが、それが「いないと困る」という依存関係になってしまうと、お互いが良好な関係を維持できなくなります。

 

自分たちがどう生活していくのかを冷静に見通し、準備しておくようにしましょう。

 

〈出典〉
■総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)結果の概要」https://www.stat.go.jp/data/kakei/2024np/pdf/summary.pdf

■内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査」第3章
https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r06/zentai/pdf/2_3_2.pdf

 

 

小川 洋平

FP相談ねっと

ファイナンシャルプランナー

 

 

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