「相続税0円は許さない」国税の執念…節税のため〈14億円のタワマン〉を買った富裕層の遺族の悪夢【税理士が税制改正のポイントを解説】

「相続税0円は許さない」国税の執念…節税のため〈14億円のタワマン〉を買った富裕層の遺族の悪夢【税理士が税制改正のポイントを解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

長年、経営者や富裕層の間で“最強の節税ツール”として広く利用されてきた不動産。しかし、その常識が「令和8年度税制改正」によって終わりを告げようとしています。では、具体的にどう変わるのか、相続税激増のリスクとその回避策をみていきましょう。税理士・公認会計士で税理士法人グランサーズ共同代表の黒瀧泰介氏が、具体的な事例を交えて解説します。

「節税なら不動産を買え」という常識は崩壊

富裕層のあいだでは「節税したいなら不動産を買っておけ」というのが一種の常識でした。しかし、この“鉄板の節税手法”が2026年(令和8年)以降、使えなくなるかもしれません。

 

実はいま、国税庁が「富裕層の不動産節税」にこれまでになく目を光らせているのです。

 

特にターゲットとなっているのが、少額から都心の一等地を所有できる「不動産小口化商品」や、相続直前の「駆け込み購入」とされています。

 

不動産はなぜ“最強の節税ツール”だったのか?

そもそも、なぜ不動産が節税において最強と言われてきたのか。その理由は、「時価」と「相続税評価額」に生まれるギャップにあります。

 

まず、現金1億円は相続税の計算上も「1億円」です。しかし、不動産はルールが異なります。

 

土地は時価の約8割である「路線価」で評価され、建物は建築費の約5~6割程度の「固定資産税評価額」で計算されます。さらに賃貸用であれば評価はさらに圧縮され、「小規模宅地等の特例」などを駆使すれば、時価1億円の物件を相続税上、わずか2,000万円程度の価値にまで押し下げることが可能だったのです。

 

そして極めつけは、借入金という「レバレッジ」です。

 

たとえば、10億円を借りて10億円の物件を買ったとします。借入金は10億円のマイナス財産として評価される一方、物件の評価額が3億円まで圧縮されれば、差し引きで「7億円分の資産を圧縮」し、相続税をゼロにできたのです。

 

相続税ゼロは許さない…国税の執念

しかし、国税庁はこの事態を黙って見てはいませんでした。

 

具体的には、「相続税法基本通達第1章第1節6(通称:総則6項)」の存在です。

 

これは、たとえルール通りの計算であっても、その評価が「著しく不適当」とみなされれば、国税側が独自の評価(不動産鑑定評価など)で否認できるという、まさに“後出しジャンケン”とも言える強力な権限です。

 

実際に、令和4年の最高裁判決では、亡くなる直前に約14億円でタワーマンションを購入し、ルール通り「相続税0円」で申告した遺族に対し、国税が総則6項を適用。最高裁もこれを支持し、遺族に多額の追徴税が課されたという事例がありました。

 

「ルールを守っていれば安心」という時代は、すでに終わっているのです。

 

 

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※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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