経済規模の比較でわかるのは「国力」と「豊かさ」
GDPの国際比較はよく目にします。「日本のGDPは世界〇位だ」「米国のGDPは日本の〇倍だ」といった具合です。GDPが大きいということは、世界経済における存在感が大きく、動向が注目されるということです。たとえば米国や中国はGDPが大きいので、景気が悪化すると輸入が大きく減って日本などの景気に悪影響を及ぼしかねず、大いに注目されているわけです。
国際比較のもうひとつは、国民1人あたりのGDPです。中国の経済規模は日本より大きく、注目度は高いけれども、人口が日本よりはるかに多いので、1人あたりのGDPは日本より小さいのです。そこで、中国人の生活レベルは日本人より低いと思われます。生産されたものを多くの国民が分け合っているからです。
もちろん、例外はあり得ますので要注意です。たとえば、GDPは大きいけれども鎖国している国があれば、注目されないでしょう。あるいは、1人あたりGDPは大きいけれど、王族だけ豊かで国民は貧しい、といった国があれば、1人あたりのGDPを計算しても無駄かもしれません。
ちなみに、GDP統計は自国通貨建てで発表されるので、国際比較の際には米ドル建てに換算してから比較するのが普通です。
経済成長率には「名目」と「実質」がある
GDPを過去の自国と比較すると、経済成長率が求められます。今年のGDPを昨年のGDPで単純に割った値のことを「名目経済成長率」と呼びます。そこから物価上昇率を差し引いた値を「実質経済成長率」と呼びます。
GDPが増えても、それが物価上昇によるものであるならば、生産量等は増えていないので、あまり意味はありません。一方で、実質経済成長率が高いということは、生産量が増えているということなので、重要です。そこで、単に「成長率」という時には実質経済成長率をさすのが普通です。
成長率が高い=「景気は回復中」
長期的に経済成長率が高いということは、国の経済規模が急激に拡大し、国民生活が豊かになっている、ということを意味します。日本の高度成長期には、20年近くにわたって高い経済成長率が続き、国民生活は大いに豊かになりました。一方で、バブル崩壊後の長期低迷期には、ゼロ成長が続いたので、国民生活のレベルは上がりませんでした。
長期の経済成長率が生活レベルを決めるものである一方で、短期の経済成長率は景気を考える際に重要です。短期的に経済成長率が高いということは、企業が生産を増やしているわけですから、企業が売り上げの増加を見込んでいるのでしょう。つまり、景気は上向いていると考えてよいわけです。
景気の予想屋たちは、来年の景気について「かなりよさそうだ」などと表現する代わりに「来年の経済成長率は〇%になると予想している」という表現をします。その方が客観的に自分の景気感を伝えられるからなのですね。
今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。
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塚崎 公義
経済評論家
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