21世紀の米国が直面した資本主義の危機
このような20世紀を通して続いてきた好循環が、21世紀に入り大きな壁にぶつかった。バブル崩壊と大不況、金利の際限のない低下とゼロ金利陥落、世界全体に蔓延した流動性の罠と、デフレ化の危機である。これらの現象は、マルクスが指摘した「資本主義体制の危機の深化」そのものであった。
2000年前後に、米国の経済と金融データに大きな不連続的変化が起こった。第一の変化は、実体経済面での企業収益の急激な向上である。米国企業の利潤率が、2000年を大底に鋭角的に上昇していった。
[図表1]に見るように、企業の純利益は、1960年代から1990年代まで、GDPの4~6%で推移していた。
それが、2000年代に入ってからは6~8%で推移するようになった。その直接の原因は、[図表2]にもあるように、労働分配率の低下である。過去、福利厚生を含めた労働報酬のGDPに対する比率は、1960年代以降は62~65%の狭い範囲で変動してきたが、2000年からは大きく低下し始め、現在のレベルは57%という歴史的低水準となっている。技術発展とグローバル化(=海外労働の活用)により労働生産性が大きく高まり、企業がビジネスをするために必要な労働投入を節約できるようになったのである。
第二の変化は、資金余剰の顕在化である。さきほどの[図表1] に見るように、企業の内部資金(純利益+減価償却費)は、1960年代から1990年代まで、GDPの10~12%で推移していた。
それが、最近では14~16%で推移している。他方、企業の設備投資は長期にわたってGDP比10%程度で推移しており、企業部門の資金余剰が顕著になった。それ以前は、企業は恒常的資金不足セクターで、家計の貯蓄余剰の受け皿であったが、2000年頃から貯蓄超過セクターに変わった。



