「かわいい」と「苦しい」のあいだで、祖母が抱えた後ろめたさ
娘一家が帰ったあと、和代さんは台所で使った皿を洗いながら、何とも言えない気持ちになったといいます。
「翔が帰ると、毎回ちょっと静かになって寂しいんです。でも同時に、正直ほっとしてしまう自分もいて。そのことがつらかったですね」
数日後、娘から電話がありました。「この前、翔が“おばあちゃん元気なかったね”って言ってたよ」と聞かされ、和代さんは胸が詰まったといいます。
「見透かされていたのかなって思ってしまって。子どもって、案外よく見ていますよね」
和代さんは、その電話で初めて娘に打ち明けました。
「正直つらいのよ。来てくれるのはうれしい。でも、そのたびにお金のことが頭をよぎってしまうの」
すると娘はしばらく黙ったあと、「もっと早く言ってくれればよかったのに」と静かに返したそうです。
「娘は全然責めませんでした。“お昼も、今度からこっちで買っていくね”“翔にお小遣いなんて気にしなくていいよ”と言ってくれて」
和代さんは、その言葉に救われる一方で、「言わなければ分からないところまで、自分も追い込まれていたんだ」と気づいたといいます。
高齢期の生活では、家族との距離が近いことが支えにもなりますが、ときに負担感を生むこともあります。だからこそ、無理を前提にした関係ではなく、続けられる形に整えることが大切です。
その後、娘一家が来るときは、昼食を持参したり、外で短時間だけ会ったりすることも増えました。お小遣いも「誕生日とお年玉だけ」と決めたことで、和代さんの気持ちは少し軽くなったといいます。
「前は、“祖母なんだから、してあげないと”って思い込みすぎていたのかもしれません。今は、無理をして一度きり豪華にするより、細く長く会えるほうがいいと思っています」
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