「いつの間にか、俺は老害になっていたのか」
しかし、転職活動は思うように進みません。書類で落とされ、面接でも手応えがない。ですが、家にも居場所はありません。
「ずっと家にいられても困るんだけど」
妻の一言に返す言葉もなく、黒田さんは未経験に近い業界の営業職へ。年収は500万円まで下がりましたが、他に選択肢はありませんでした。
新しい職場で、黒田さんは50代ながら“新人”でした。若い上司に指示を仰ぎ、慣れない業務に戸惑う日々。その中で、自分とはまったく違うマネジメントに触れます。
ミスがあっても頭ごなしに叱るのではなく、まずは状況を整理し、一緒に改善策を考える。意見も否定せず、「どう思う?」と問いかける。そのとき、黒田さんはようやく気づきました。
「あんな上司にはなりたくない」と思っていたのに、責任を背負ううちに、部下を理解するより前に「厳しくしなければ」に変わっていたこと。いつの間にか“なりたくなかった側”に立っていたことに。
黒田さんはこう話します。
「気づかぬうちに、嫌いだったはずの上司の影を追ってしまっていたのかもしれません。そりゃあ、若手から見れば“老害”に見えますよね。外に出て初めて自分を客観視できました」
長く働く時代だからこそ、立ち止まって己を振り返る
会社員は60歳でいったん定年を迎えますが、60歳以上の人の就業率は年々上昇しています。
総務省の「労働力調査」によると、2024年には60歳から64歳の就業率が74.3%と、7割を超えました。65~69歳の就業率は53.6%、70~74歳は35.1%、75歳以上は12.0%。長く働くことは、多くの人にとって当たり前になっています。
しかし、役職やポジションは永遠ではありません。役職定年や雇用継続などを期に、部下だった人が上司になることも少なくない。そうなったときに必要とされるのは、仕事の実績だけではなく、協調性や人柄です。
黒田さんが持っていたような「厳しさが必要」という考えは決して間違いではないでしょう。ただ、今はパワハラへの目も厳しく、単純な厳しさではなく工夫やバランスが求められます。
同じ環境に長くいると、人は自分の変化に気づきにくくなります。無意識に自分を正当化してしまい、違和感を指摘されても受け流す。その積み重ねが、周囲とのズレを広げていきます。
だからこそ、年齢を重ねるほど「いまの自分はどう見えているか」と立ち止まって振り返ること。それが必要になってくるのではないでしょうか。
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