「まだ受け取っていないお金」にも課税?「会社の業績しだいで和解金を支払います」…故人と企業の間で結ばれた契約の“権利”が〈相続財産〉と判断された理由【税理士が事例解説】

「まだ受け取っていないお金」にも課税?「会社の業績しだいで和解金を支払います」…故人と企業の間で結ばれた契約の“権利”が〈相続財産〉と判断された理由【税理士が事例解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

故人の財産は、一般的に「相続税」の対象となります。しかし実際には、目に見える財産だけでなく、「まだ支払われていない報酬」など「将来お金を受け取ることができる権利」も課税対象となる場合があることをご存じでしょうか。実際の裁決事例をもとに、「不確実な権利」の扱いについてみていきましょう。

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審判所は、和解契約の権利は「相続財産」にあたると判断

国税不服審判所は、税務署の考え方を支持し、本件権利は相続財産に該当すると判断しました。

 

相続税の課税対象となる財産は、金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべてを含むとしたうえで、たとえ権利として完全に確定していない段階であっても、その価値が認められる限り課税対象となると整理しました。

 

本件については、相続開始時点で支払が見込めない特段の事情がなかったこと、さらには相続後も支払が継続していることなどを総合的に考慮し、当該権利には十分な経済的価値があると認定。そのため、「停止条件付であること」を理由に課税対象から外すことはできないと明確に判断しています。

 

また、将来受け取る金銭については、支払時期までの期間を考慮して利息相当分を控除し、「現在価値」に引き直して評価するのが合理的であると示しました。

 

相続税では、「確定しているかどうか」よりも「価値」が重視される

本件は、「まだ受け取っていない」「条件しだいで変動する」といった事情があっても、経済的価値が認められる限り相続税の対象になることを示した事例です。

 

相続税の世界では、「確定しているかどうか」よりも「価値があるかどうか」が重視されます。将来の収入であっても、現実的に受け取れる見込みがあれば、それはすでに財産として扱われるという考え方です。「まだもらっていないから大丈夫」と考えてしまうと、思わぬ課税漏れにつながる可能性があります。

 

相続においては、目に見える財産だけでなく、「権利」という形で存在する価値にも目を向けることが重要だといえるでしょう。

 

 

高橋 創

税理士

 

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