「まだ受け取っていないお金」にも課税?「会社の業績しだいで和解金を支払います」…故人と企業の間で結ばれた契約の“権利”が〈相続財産〉と判断された理由【税理士が事例解説】

「まだ受け取っていないお金」にも課税?「会社の業績しだいで和解金を支払います」…故人と企業の間で結ばれた契約の“権利”が〈相続財産〉と判断された理由【税理士が事例解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

故人の財産は、一般的に「相続税」の対象となります。しかし実際には、目に見える財産だけでなく、「まだ支払われていない報酬」など「将来お金を受け取ることができる権利」も課税対象となる場合があることをご存じでしょうか。実際の裁決事例をもとに、「不確実な権利」の扱いについてみていきましょう。

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相続税は、“いまここにない財産”も課税対象になる

相続税というと、不動産や預貯金といった「すでに手元にある財産」に課税されるものというイメージを持たれる方が多いかもしれません。

 

しかし実際には、目に見える財産だけでなく、「まだ支払われていない報酬」など「将来お金を受け取ることができる権利」も課税対象となる場合があります。現時点では手元になくても、将来的に受け取れる見込みがある以上、経済的な価値を持つものとして扱われるわけです。

 

では、その権利がまだ確定していない場合、あるいは条件しだいで受け取れるかどうかが変わるような場合でも、相続税の対象となるのでしょうか。

 

今回は、和解契約に基づき将来支払われる予定の金銭について、それを「請求できる権利」が相続財産に当たるのかが争われた事例を取り上げます。

故人と会社との“不確実”な和解契約は「相続財産」にあたるか?

Aさんは、ある会社との間で和解契約を締結していました。この契約は、一定の条件が満たされた場合に、総額10億円に及ぶ和解金が支払われるという内容でした。

 

ただし、その支払方法は一括ではなく、会社の業績などの条件に応ずることになっていました。つまり、将来の業績しだいで支払の有無や金額が左右されるという不確実性を伴っていました。

 

この和解金の一部が支払われた時点でAさんが亡くなり、相続人であるBさんがその権利を承継しましたが、Bさんはこの権利について、まだ確定していない不確実なものであるとして、相続税の計算に含めませんでした。

 

これに対して税務署は、たとえ将来の支払であっても、その請求権自体に経済的価値がある以上相続財産に含めるべきであると判断。更正処分を行いましたが、Bさんはこれを不服とし、国税不服審判所で争われることとなりました。

 

本件の争点は、「和解契約に基づく将来の支払請求権は、相続税の課税対象となる財産に該当するのか」という点です。一定の条件が満たされて初めて支払義務が生じる、いわゆる「停止条件付きの権利」の場合、その条件がまだ満たされていない段階でも、相続税の対象となるのでしょうか。

 

また、仮に財産に該当するとしても、その価値をどのように評価するのかという問題もあります。

 

 

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