企業価値の長期的な上昇メカニズムを支える理由の1つに、「企業の利益や純資産が増えていく仕組み」があります。米国の大企業アップルは、純利益が1,000億ドルを突破する一方、純資産はまったく増えていません。それなのになぜ、株価はわずか5年で倍以上になったのでしょうか。本記事では、広木隆氏の著書『株はずっと上がるもの 誰も書けなかった株式投資の真実』(日経BP)から一部編集・抜粋して解説します。
驚異のROE150%超え…資産を増やさなくても「株価が倍」になるワケ
アップルの株価は20年末の132ドルから25年末には280ドルへと倍以上になりました。さきほど見たようにこの間、純資産はまったく増えていません。
ですから株価の上昇とともにPBRが連動して動いています。アップルのPBRは50倍を超えていますが、これも桁が一つ違うような水準です。
しかし、それも当然です。ROEとPBR、PERの定義をここで確認しましょう[図表3]。
さて、ここで見たように配当や自社株買いをして資産や資本を増やさなくても株価は上がります。アップルのような米国のハイテク企業を例に考えればわかりやすいでしょう。
いわゆるGAFAM、あるいはマグニフィセント7のようなビッグ・テックは巨大な工場や生産設備を必要としませんでした※1。
※1「ビッグ・テックは巨大な工場や生産設備を必要としませんでした」と過去形で書いたのは、今後数年間でこの状況が変わるかもしれないからです。いま米国のハイテク大手はAIのデータセンターなどに巨額の投資を行っています。AIのデータセンターなどは現代における広義の「生産設備」と言えるかもしれません。
彼らの付加価値創造の源泉は無形資産から生み出されたものだったのです。バランスシートで稼ぐビジネスモデルではないため、内部留保でバランスシートを拡大しなくても利益が伸びていくのです。
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト
1963年東京生まれ。上智大学外国語学部卒業。神戸大学大学院・経済学研究科・博士後期課程修了。
博士(経済学)。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、社会構想大学院大学教授。
大手証券会社、銀行系投資顧問、外資系運用会社など様々な金融機関でファンドマネージャー、ストラテジスト等を歴任。40年にわたって証券市場の最前線で働く。
好きな言葉はロベルト・バッジョの「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気のある者だけだ」。予想を外すかもしれない不安と戦いながら、今日もマーケットという名のピッチに立ち続ける。
テレビ・ラジオのコメンテーターとしてメディアで活躍するほか、著書、論文、寄稿など多数。
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連載「株価が上がり続ける理由」はここにある。インフレ×AI時代を生き抜く富裕層の資産防衛戦略