企業価値向上を「自分事」に…広がる株式報酬制
政・官・財のトライアングルの中で「財」、つまり民間の企業が尖っていくように形を変えていかなければなりませんが、その民間企業とは投資される側の企業と投資する側の機関投資家、双方です。
どうすれば企業が主体性を持って変わっていけるでしょうか。
「主体的に」とは「自分事として」行動するということにほかなりません。企業価値向上を「自分事」として捉えるには、インセンティブと成功体験が必要でしょう。
あっさり言えば、「株価が上がってよかった」と企業関係者が思えることです。その意味では企業が従業員に株式で報酬を渡す制度が広がっていることは明るい材料です。
日経新聞が報じた記事によれば、譲渡制限付き株式(RS)報酬など主な制度の導入数は2025年6月時点で全上場企業の6割に当たる約2,600社が導入し、およそ10年で3倍になったといいます。譲渡制限付き株式報酬を役員向けに導入するのは約1,690社、従業員向けは約740社あるそうです。
このような流れの先に「一億総株主化」が実現するのでしょう。その意味では我が国の発想は、まだまだ米国に遅れています。
「投資」を利用する米国、「目先の対策」に留まる日本
「さすが米国だ」と思わされるニュースが2025年末にありました。米政府が発表した新生児向けの投資口座「トランプ口座」です。米政府が口座に1,000ドルを出し、保護者や企業の上乗せ拠出も認めて米株指数連動ファンドなどで運用するというのです。
「富を増やす方法として常に株式に関心を持ってきたのが米国だ」と米投資信託協会(ICI)のエリック・パン最高責任者が語っていますが、アメリカという国はまさに「資本」というものを徹底的に利用しようという発想が根付いているのでしょう。
それに引き換え我が国の政策はなんとも「しょぼい」と言わざるを得ません。政府・与党・野党がすったもんだした結果、出てきた策が所得税の非課税枠「年収の壁」を178万円に引き上げるというものです。
こども家庭庁も、閣議決定された2025年度補正予算案で、子ども1人当たり2万円を給付する「子育て応援手当」に3,677億円を計上しました。物価高対策として子育て世帯の生活を支援するというものです。
そんな目先の「バラマキ」ではなく、もっと長期的な視点に立った政策を発想できないものでしょうか。例えば、米国と同じことを日本でもやればよいのです。
