企業価値の長期的な上昇メカニズムを支える理由の1つに、「企業の利益や純資産が増えていく仕組み」があります。米国の大企業アップルは、純利益が1,000億ドルを突破する一方、純資産はまったく増えていません。それなのになぜ、株価はわずか5年で倍以上になったのでしょうか。本記事では、広木隆氏の著書『株はずっと上がるもの 誰も書けなかった株式投資の真実』(日経BP)から一部編集・抜粋して解説します。
純利益1,000億ドル超でも「純資産は増えない」…アップルが示す株価上昇のカラクリ
米国の大企業アップルは、言わずと知れたiPhoneなどの製品やサービスが世界的に受け入れられて、高い収益を稼いできました。
2025会計年度(Fiscal Year 2025) の純利益(Net Income)は約1,120億ドルと初めて1,000億ドルの大台を突破しましたが、2020年度以降はほぼ1,000億ドルに迫る利益をあげてきたことが[図表1・2]からもわかるでしょう。
一方、アップルの純資産は600億ドル前後で推移してきました。純資産をはるかに上回る利益をあげてきたのですから、この利益をまともに内部留保すれば純資産は倍々ゲームで増加していきます。
しかし、これだけの利益を稼ぎ出しながら純資産はまったく増えていません。減少している年すらあります。
つまり稼いだ利益を上回る規模の株主還元(配当支払い+自社株買い)を行ってきたということです。純資産の増加を抑制し、巨額の利益を稼いでいることからアップルのROEは150%を超えています。桁がひとつ間違っているのではないか、と思うような水準のROEです。
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト
1963年東京生まれ。上智大学外国語学部卒業。神戸大学大学院・経済学研究科・博士後期課程修了。
博士(経済学)。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、社会構想大学院大学教授。
大手証券会社、銀行系投資顧問、外資系運用会社など様々な金融機関でファンドマネージャー、ストラテジスト等を歴任。40年にわたって証券市場の最前線で働く。
好きな言葉はロベルト・バッジョの「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気のある者だけだ」。予想を外すかもしれない不安と戦いながら、今日もマーケットという名のピッチに立ち続ける。
テレビ・ラジオのコメンテーターとしてメディアで活躍するほか、著書、論文、寄稿など多数。
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