投資の「大損リスク」、なるべく小さくするには…
株式投信の積立投資が投資リスクを軽減する、という話を、拙稿『株価暴落、想像しただけで震える「ノミのハート」の人にお勧め…「大損のリスクが大幅に減る」いい方法』で記しました。
今回は、その要点を改めて整理していきたいと思います。投信を持てば、多くの銘柄の株式を少しずつ持つのとほぼ同様の結果が得られるので、値上がりする株も値下がりする株も持つことになり、大きく損をするリスクが抑えられます。毎月少しずつ投資信託を購入する「積立投資」ならば、株価が高いときも安いときも購入することになるので、大損のリスクが小さくなります。
絶対避けるべきなのは、株価が暴落したときに積み立てをやめたり、解約したりすることです。投資初心者は「自分で考えると間違える」ので、あらかじめ決めたルールに従って淡々と購入を続けるほうがよいのです。
「高いとき」は購入を休み、「安いとき」には多く買う
上記でも十分なのですが、本稿では少し欲張って、株価が高いときには投信購入を休み、株価が安いときには投信を多く買う、ということを目指してみましょう。
まず、株価が高いときとは何か。一般に、PERという指標で株価の割高割安を判定するのが一番普通でしょう。これは、株価が一株あたり利益の何倍であるか、という計算結果です。これが過去よりも高いなら割高、低いなら割安、と判断するわけです。
通常はそれで十分なのですが、リーマン・ショックのようなときには困ったことが起きます。たとえば利益が10分の1に減り、株価が半分になったとしたら、PERが5倍になるので、「割高だから買うべきではない」という判断になるのです。
そういうときには、リーマン・ショックによる株価下落が金融危機による一時的なものなのか、経済構造が変化して長期的に企業が儲からない時代に突入したのか、という判断が必要になります。後者であれば、今後も収益は低迷し続けるだろうから、株は買わないほうがよい、ということになりそうです。
前者であれば、「しばらくすれば利益が戻るのだから、今の株価を、戻った後の利益で割ってPERを計算しよう。そうすれば今の株価は割安だということになるから、買いだ」という判断になります。将来の利益の予想は難しいでしょうから、たとえば過去10年の利益の平均を用いて計算する、ということになるでしょうが。
理屈は以上ですが、過去10年の利益の平均を計算するのは面倒です。そこで本稿では、簡便法を考えてみました。毎月2万円を老後のために蓄えるとしましょう。1万円は預金で、1万円は投信で、というのを基本とします。そうなると、1年後には預金が12万円、投信が12万円になっているはずです。これを「目標残高」と呼びましょう。
1年後に投信の残高が12万円より多いということは、過去11ヶ月の平均よりも12ヶ月目の方が株価が高い、ということです。それなら「株価は割高である可能性が高い」と考えて投信購入はパスして、2万円そっくり預金しましょう。反対に、1年後の投信残高が12万円より少ないときは、預金はせずに投信を2万円購入しましょう。この作業を毎月行なうのです。そうすることによって、「高いときには買わず、安いときに多く買う」ということが可能になるでしょう。
繰り返しますが、暴落したときでも自分で決めたルールは守りましょう。リーマン・ショックでプロたちが損切りの売りを出し、投資初心者たちが狼狽売りをしているときに、普段の2倍の株式投信を買う、というのは勇気がいることのように思えますが、そんなことはありません。自分で決めたルールを守る、というだけのことですから。
老後の取り崩しも、資産残高の目標額で
現役時代に老後資金を貯める方法を記しましたが、老後に資金を取り崩すときも考え方は同じです。「公的年金で最低限の生活をし、毎月4万円老後資金を取り崩してささやかな贅沢を楽しむ」と決めたら、預金の引き出し額と投信の売却の基本金額を決めます。そうすれば、毎月の投信の目標残高が決まります。
あとは、投信の残高が目標残高より多いか否かで判断すればよいのです。目標残高より多ければ、投信売却で4万円を捻出し、目標残高より少なければ預金の取り崩しで4万円を捻出しましょう。そうすることによって、株価が高いときには多く売り、株価が安いときには売らない、ということが可能になるはずです。
リーマン・ショックのようなときに売らずに持っているのは精神力を要するようにも思えますが、そんなことはありません。自分で決めたルールを守る、というだけのことですから。
本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。投信の積み立て投資については、拙稿株式投資『〈負け続きの人〉ほどわかっていない…「長期投資」「短期投資」それぞれの考え方・狙い方』を併せてご覧いただければ幸いです。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。
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塚崎 公義
経済評論家
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