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極めて小さな確率は、実際より大きく感じる
同じパンを大きな皿と小さな皿に乗せて並べると、パンの大きさが異なって見える、といった「目の錯覚」は有名ですが、じつは「脳」も目と同様に錯覚を起こします。
錯覚すること自体は恥じることではありません。人類の進化の過程で「錯覚したほうが生存に有利だから」錯覚するようになったわけで、錯覚する人は進化した人なのですから(笑)。
そうはいっても、錯覚によって投資判断を誤ったりすることは避けたいので、本稿では脳の錯覚が投資判断を誤らせないような注意点を記していきましょう。
最初の錯覚は、「極めて小さな確率は実際より大きく感じる」というものです。飛行機に乗るのが怖かったりテロに怯えたりする心理ですね。実際には飛行機より自動車のほうが危ないのかもしれませんし、テロに遭うより自動車事故に遭うほうが確率が高そうなのですが。
投資の関係でいえば、「株価が暴落するかもしれないから、株式投資は怖くてできない」という人がいるようです。平成バブル崩壊やリーマン・ショックなどは、滅多に起きないのですが、暴落の確率が実際より大きく感じられているのかもしれませんね。
本稿の主題である「損切り」との関係でいえば、「儲かった喜びより損した悲しみのほうが大きい」「利益や損失が2倍になっても喜びや悲しみは2倍にはならない」といった錯覚があるようです。
買った値段から下がると、「今売ると、損失が確定してしまう。それは嫌だ。このまま持っていて、株価が戻る可能性に期待したい」と考えて、塩漬けにしてしまう投資初心者が多いようです。「株価が戻るかさらに下がるかはわからないが、損が2倍になっても悲しみが2倍になるわけではないのだから、持っていよう」ということも考えるのでしょう。
平均株価が下がったことによって持っている株が値下がりしたのであれば、しばらく持っていれば戻るという可能性も期待できるでしょう。しかし、持っている株だけが下落したような場合には「この会社に対する投資家たちの評価が変化したので、株価が戻らない可能性も高い」ということには留意が必要です。冷静に考えて「損切り」を選択するか否か、検討してみることは必要でしょう。
下のグラフは「投資初心者は利益確定売りを急ぎすぎる」ということも示唆しています。
株価が上がることで、「この嬉しさが消えてしまわないうちに確定しておきたい」「さらに株価が上がる可能性もあるが、利益が倍になる嬉しさより利益がなくなってしまうことの無念さのほうが大きそうだから、上がるか下がるかわからないなら売ってしまおう」と思うわけですね。詳しく知りたい方は、行動経済学の「プロスペクト理論」を調べてみてください。


