(※写真はイメージです/PIXTA)

大学進学にあたり奨学金を利用する人は珍しくありません。しかし返還が長期に及ぶこともあり、結婚や住宅取得など、人生の節目で家計への影響が意識されやすくなります。

結婚話を止めた“毎月の返済額”

「結婚は、少し考え直したほうがいいかもしれないね」

 

その言葉を聞いた瞬間、優奈さん(仮名・28歳)は、自分の耳を疑ったといいます。

 

相手は婚約者本人ではありませんでした。婚約者・健太さん(仮名・30歳)の両親です。両家の顔合わせを兼ねた食事会の終盤、今後の暮らしの話になった流れで、優奈さんは自分の奨学金返済について率直に話しました。

 

月収は30万円ほど。大学時代に借りた奨学金の残高は約320万円で、毎月の返済額は約2万8,000円。返済はまだ10年以上残っています。

 

「隠したくなかったんです。結婚するなら、最初にきちんと話しておくべきだと思っていました」

 

ところが、その空気は想像していたものとは違いました。

 

「そんなに残っているの?」

「結婚後も、その返済は続くんだよね」

「住宅ローンや子どものことまで考えたら、かなり厳しいんじゃないかな」

 

優奈さんは、その場では「はい」と答えるしかありませんでした。

 

大学進学の際、実家には大きな余裕がありませんでした。私立大学への進学と一人暮らしが重なり、授業料と生活費の一部を奨学金で賄ったのです。JASSOの令和6年度『奨学金の返還者に関する属性調査結果』でも、奨学金が「授業料等の学校納付金」だけでなく「毎月の生活費」にも使われていたと答える人が多いことが示されています。奨学金がなければ学び続けられなかった人は少なくありません。

 

健太さんはその場で、「俺は気にしていないよ」と言ってくれました。ですが、両親の表情は晴れなかったといいます。

 

食事会のあと、健太さんから届いたメッセージには、こうありました。

 

「親がかなり気にしてる。少し時間をほしい」

 

優奈さんは、スマートフォンの画面を見たまま、しばらく動けなかったそうです。

 

「奨学金があることは、自分でも負い目みたいに感じる瞬間がありました。でも、それを理由に結婚そのものをためらわれるとは思っていませんでした」

 

数日後、健太さんと改めて会った際、彼は苦しそうに言いました。

 

「親は“借金がある人と結婚するのは心配だ”って。俺はそういうふうに思いたくないけど、現実的に考えると不安だって…」

 

優奈さんはその言葉に傷つきながらも、反論できない自分もいたと振り返ります。返済が続く以上、家計に一定の影響があるのは事実だったからです。

 

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