転職活動をするも、決まらない
しかし、転職活動は想像以上の厳しさでした。書類選考で落ちることがほとんどで、提示される条件も年収で100万から200万円ほど下がるものが中心でした。
「厳しいだろうとは思っていたけれど、ここまでとは。でも、この条件で決めていいのか?」
焦りと同時に、迷いも生まれていました。安易に決めてしまえば、経歴として後に残る。次の選択肢を狭めるのではないかという不安もあったといいます。
その一方で、鈴木さんはこの状況を妻に一切伝えていませんでした。夫婦別財布だったこと、待期期間のあとに失業保険(雇用保険)も受け取れて、即座にお金に困ることがないことも、“すぐにはバレない”と思った理由です。
「変にプライドがあったんだと思います。前の会社より良いところに転職して、華々しく報告しようなんて思っていたときもありましたね」
これまで大きな失敗なく働いてきた“安定した夫”という評価が崩れることへの抵抗があった――。鈴木さんはそう振り返ります。
その結果、これまで通り“会社員”としての生活を続けることに。退職後も毎朝スーツに着替え、同じ時間に家を出る。ただし向かう先は会社ではなく、カフェや図書館、コワーキングスペースなどです。
求人を探し、応募し、時間をやり過ごす。夕方になればゆっくり移動を始めて帰宅する。そんな毎日に精神は疲弊していました。
「行く場所がないことが、あれほど辛いとは思わなかったです」

