「また来てね」と笑って送り出し…玄関で立ち尽くした祖母
「また来てね。次は夏休みかな」
そう言って駅まで見送り帰宅したあと、恵子さん(仮名・68歳)は、静まり返った玄関でしばらく立ち尽くしていたといいます。
春休みの1週間、娘の長男である小学4年生の孫が、ひとりで祖母の家に泊まりに来ていました。娘夫婦は共働きで、春休み中ずっと子どもを見ているのが難しかったため、「おばあちゃんの家に行きたい」という本人の希望もあって、今回の滞在が決まったのです。
「来る前は楽しみでした。久しぶりにゆっくり話せるし、好きなものを食べさせてあげようと思って」
恵子さんは夫と2人暮らしです。年金生活に入り、ふだんは夫婦だけの静かな日々を送っています。朝は決まった時間に起きて、買い物は近所のスーパーに歩いて行き、夕食も簡単なもので済ませる。そんな暮らしが、孫の到着とともに一変しました。
朝食にはパンだけでなく卵料理や果物を用意し、昼食も家にあるもので済ませるわけにはいきません。おやつを買い足し、好きだという唐揚げを作り、夜はテレビを見ながら一緒に過ごしました。洗濯物は増え、風呂の湯も早い時間に張り直すようになりました。
「それでも最初の2、3日は、ただただうれしかったんです。“おばあちゃん、これおいしい”“一緒にゲームしよう”って言われるだけで、もうかわいくて」
ただ、4日目を過ぎた頃から、疲れがじわじわ出てきました。
「ついていけなくなってきたんです。食べるものも気をつかうし、外にも連れていってあげたい。でも、こっちは68歳ですからね。かわいい気持ちだけで乗り切れる感じではありませんでした」
孫は元気いっぱいでした。近くの公園へ行きたがり、スーパーにも一緒に行きたがる。退屈すると「どこか行かないの?」と聞いてきます。恵子さんは「せっかく来てくれたんだから」と応え続けましたが、夕方になると足が重くなり、ため息が出る日もあったといいます。
