円安阻止介入実施なら、円・米ドルともに「暴落」リスク
再び意識される「為替介入」実施の是非
それにしても、米ドル高・円安が160円を超えた状況が続き、さらに2024年7月に記録した161.9円というこの間のピークも超えるような展開になれば、日本の通貨当局による為替介入(円安阻止介入)が改めて強く意識される局面となりそうです。
そこで、為替介入実施の可能性と、円安を止めることができるかについて考えてみます。
日本の通貨当局は、2022年と2024年に為替介入を断続的に行い、最終的には円安の阻止、反転に成功しました。この介入を開始したのは、いずれの年も米ドル/円が5年MA(移動平均線)を3割程度と大きく上回った水準でした(図表4参照)。
一方、それ以前の為替介入は、2010~2011年の円高局面で行われたものでしたが、実はこのときも米ドル/円が5年MAを2割以上と大きく下回った水準で介入が開始されました。
2022、2024年の円安阻止、そして2010~2011年の円高阻止とも、米ドル/円が5年MAから2割以上大きくかい離するなかで介入が始まったのは、当局が介入を成功させるために、相場の“行き過ぎ”を重視していた可能性を示しているのではないでしょうか。
160円近辺の日本単独介入は「失敗」の恐れ
規模が巨大な為替市場において、介入だけで相場の流れを転換させるのは容易ではありません。ただし、これまでの実績を見る限り、米ドル/円は5年MA±3割以上にかい離するケースはほとんどなく、2~3割のかい離が“行き過ぎ”の限界圏だったとみられます。
当局は円安・円高のどちらを阻止する際にも、この“行き過ぎ”を逆手に取る形で、介入のタイミングを見極めてきた可能性があります。
では足下はどうかというと、160円という水準ではありますが、米ドル/円は5年MAを15%程度上回っているに過ぎません。
「行き過ぎ」を逆手にとるという考え方からすると、足下の5年MAは140円程度なので、少なくとも2割以上上回る170円前後までは、米ドル売り・円買い介入に踏み切らない可能性があります。
逆にいえば、170円に達する前の水準で介入を行った場合、円安阻止は「失敗」に終わる懸念もあると考えられます。


