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不安になったり立ちすくむのは当たり前
これまで身についた「なじみのやり方」
会社員人生にいつか終わりが来ることは誰もが知っています。しかし、いざ役職定年や定年が迫ると、住宅ローンのこと、子どもの学費のこと、親の介護のこと、そして自分の将来の生活のことなど今まで見て見ぬふりをしてきた未来が目の前に押し寄せ、急に不安な気持ちが湧いてくる人が少なくありません。
私自身、かつて大手電機メーカーのソニーで統括部長を務めていたとき、海外工場のトラブルへの対応に追われて連日の残業と休日出勤が続いていました。
そんななか人事担当者から1通のメールが届きました。「なんだろう」と思って開いてみると、翌年春に役職定年制度を導入するというのです。私はすでに役職定年の年齢を超えており、制度が導入されれば即、適用となります。
「えっ、そうなんだ。役職定年というと部長の肩書きがなくなるんだよな。その先、ポジションや仕事はどうなるんだろう」と疑問や不安が次々に湧いてきて軽いパニック状態に陥りました。
考えてみると、私もそうでしたが多くの人は会社が指示する所属先で目の前に次々と現れる課題に精いっぱい取り組んできたはずです。良いときも悪いときもありつつ、自分なりに頑張って課長や部長、なかには役員クラスにまでなった人もいると思います。
その間に身につけた思考や行動のパターンは「なじみのやり方」であり「結構うまくいく方程式」だったといえます。それによって今のポジション、給与、権限などを手に入れてきたのです。
突然、列車から降ろされるようなもの
ところが定年や役職定年はそうした状況から放り出されることを意味します。たとえれば、それなりに心地よく走る列車の座席に座って車窓を眺めていたら、列車が停車し「あなたはこの先、降りてください」と言われるようなものです。誰しも呆然として立ちすくむのは当然です。
私が行う研修では、まさに「列車から降りろ」と言われた人が会社の指示で参加するケースが多く、最初は「急にそんなこと言われてもな」「いったいどうしろというんだ」といった表情がありありと浮かんでいます。
そこで「あなたの気持ちは分かりますが、人事部に文句を言いに行きますか? 役職定年や定年の時期が変わるわけではないですよね」
「それより、何も考えなくて大丈夫ですか? すぐ準備を始めたほうがよくないですか?」と尋ねると、「そうか、これは自分の問題なんだ」と気づく人が大半です。

