(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では2026年2月、高市内閣において給付付き税額控除の導入が本格化しました。一方、韓国では2009年から勤労奨励税制(EITC)が支給され、低所得者への生活支援と勤労奨励の両立を目的として運用されています。両国の制度には共通点もありますが、番号制度や課税インフラの整備状況には大きな違いがあります。本稿では、韓国の先行例を参照しつつ、日本の導入における課題と示唆について、2026年3月に『世界の税金はどうなっているのか 富裕層の相続戦略シリーズ【国際編】』を刊行した矢内一好氏がわかりやすく解説します。

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日本と異なる税制インフラ

韓国の給付付き税額控除である勤労奨励税制(Earned Income Tax Credit:EITC)は、2006年12月に法案が議会を通過して成立し、2009年9月から支給が開始されました。

 

日本でも、2007年の福田康夫内閣時の税制調査会答申「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」において、「いわゆる『給付付き税額控除』(税制を活用した給付措置)の議論」という項目が設けられています。

 

しかし、その後の変遷を経て、日本では2026年2月に高市内閣において給付付き税額控除導入が本格化しました。

 

日本は給付付き税額控除の検討段階において、利子等の資産所得を合算する要件としてマイナンバーカードの普及を課題としています。

 

一方、韓国では1962年の「大韓民国住民登録法」に基づき、韓国国民に固有番号が付与され始めました。この住民登録番号(Resident Registration Number:RRN)は、韓国において全ての国民に出生時に与えられる識別番号です。その背景には、韓国に居住する者の身元を確認する目的で導入されたという説があります。また、事業者には事業者登録番号が付されています。

 

日本から見ると、番号制度を早くから整備した韓国は参考となる先行例のように思えますが、不正受給や自営業者の所得把握が課題となっています。さらに、韓国は1977年に欧州型の付加価値税を税率10%で導入しており、その後税率は変更されていません。韓国の付加価値税は導入当初からインボイス方式で運用されています。その背景には、韓国が個人および事業者に対する番号制度を整備していたことがあります。

勤労奨励税制(EITC)の概要

韓国のEITCの先例となったのは、1975年に米国で導入された勤労所得税額控除(Earned Income Tax Credit:EITC)です。米国における導入の目的は、中低所得者に課される重い社会保険料を軽減することにありました。

 

韓国における導入の目的は、低所得者への生活支援と勤労奨励にあります。導入後は、支給要件の緩和や支給金額の引き上げ、支給対象者の拡大などが行われ、現在に至っています。

 

世帯別総所得金額基準は、単身世帯で1,300万ウォン、片稼ぎ世帯で2,100万ウォン、共稼ぎ世帯で2,500万ウォンです。支給額は、所得階層ごとに総所得金額を基に一定の算式で算定されます。

 

(参考資料:金明中「韓国における給付付き税額控除の現状と日本へのインプリケーション-軽減税率より給付付き税額控除?-」『ニッセイ基礎研レポート』2016年3月15日)

 

 

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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