(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年2月、アメリカ合衆国とイスラエルによるイランへの攻撃を契機に、中東情勢は再び緊張を高めています。報道では軍事や外交の側面が中心に語られますが、湾岸地域を別の角度から見ると「税制」という興味深い違いが浮かび上がります。ペルシャ湾沿岸には、湾岸協力会議(GCC)に加盟する6ヵ国と、加盟していないイラン・イラクという2つのグループが存在します。実はこの両者の間には、法人税や所得税などの制度に大きな差があります。本稿では、湾岸諸国の税制を比較しながら、中東地域の経済構造について2026年3月に『世界の税金はどうなっているのか 富裕層の相続戦略シリーズ【国際編】』を刊行した矢内一好氏がわかりやすく解説します。

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GCCの概況

イランとイラクは、1980年から1988年まで戦争状態にありました。その原因は、1979年のイラン革命による国内混乱に乗じて、隣国イラクの大統領であったサッダーム・フセインがイランへ侵攻したことにあります。その後、2003年のイラク戦争によりフセイン政権は崩壊しました。

 

石油埋蔵量のランキングは以下になります。

 

1位 サウジアラビア
2位 イラン
3位 イラク
4位 クウェート
5位 UAE

 

南米のベネズエラは世界最大級の埋蔵量を持ちますが、同国の石油は処理の難しい重質油が多いため、これを除くと上記の順位となります。

バーレーンの税制

バーレーンの正式名称はバーレーン王国で、ペルシャ湾に位置するバーレーン島を中心とした島国です。国土面積は日本の奄美大島ほどで、人口は約100万人です。

 

同国には個人所得税、法人税、源泉徴収税が存在せず、世界でも典型的なタックスヘイブンの一つとして知られています。

クウェートの税制

クウェートの国土面積は日本の四国とほぼ同じで、人口は約492万人です。世界有数の産油国として知られています。

 

同国では2008年の税制改正により、法人税率は従来の最高55%の累進税率から15%の比例税率へと変更されました。

 

また、個人所得税、財産税、相続税、贈与税は存在せず、国内法には源泉徴収税の規定もありません。

オマーンの税制

オマーンはペルシャ湾の入口に位置する国で、国土面積は日本の約4分の3、人口は約500万人です。法人税の最高税率は15%となっています。

カタールの税制

カタールの国土面積は秋田県とほぼ同じで、人口は約300万人です。石油と天然ガスの埋蔵量が豊富で、経済はこれらの資源に大きく依存しています。

 

同国では法人税(税率10%)が課されますが、個人所得税、相続税、贈与税は課されていません。

 

また、カタール国民やGCC加盟国の国民が所有する法人については課税が免除されています。

サウジアラビアの税制

サウジアラビアの国土面積は日本の約4.7倍で、人口は約3,200万人です。世界有数の石油埋蔵量を誇り、経済は石油資源に依存しています。

 

1950年に所得税が導入されましたが、現在でも個人所得税は一般的には課されていません。

 

2004年の改正所得税法では、GCC加盟国以外の法人に対して20%の法人税率が適用されます。ただし、天然ガス企業には30~85%、石油企業には85%という高税率が課されています。

UAEの税制

アラブ首長国連邦は7つの首長国から構成され、人口は約1,006万人です。連邦政府として統一的な税制を持たず、各首長国が個別に制度を運用しています。

 

特に産油国であるアブダビが国家財政の多くを支えており、石油や天然ガスの開発を行う外国企業と個別契約を結び、一定額を納付する仕組みとなっています。

 

なお、2023年には法人税率9%が導入されました。

イラクの税制

イラクの国土面積は日本の約1.2倍で、人口は約4,600万人です。

 

同国では法人税と個人所得税が課されますが、相続税や贈与税は存在しません。法人税率は15%で、譲渡所得にも同じく15%が適用されます。

 

また、非居住者に支払われる利子や使用料には15%の源泉徴収税が課されます。

イランの税制

イランの国土面積は日本の約4.4倍、人口は約8,900万人です。経済は石油資源への依存度が高く、日本への輸出の90%以上が原油となっています。

 

2002年の税制改正により、かつて50%を超えていた法人税率は現在最高25%となりました。これに加えて地方税3%が課されます。

 

個人所得税は累進税率で最高35%です。また、2008年には付加価値税(VAT)が導入されました。

 

社会保険料は基本給与の30%で、被用者が7%、雇用主が23%を負担します。

まとめ

湾岸地域の税制を比較すると、GCC諸国は石油収入を背景に個人所得税や相続税が存在しない低税率国家であることが分かります。

 

これに対してイランは、法人税、所得税、付加価値税などを備えた一般的な課税国家に近い制度を持っています。

 

同じ石油資源国でありながら、湾岸諸国とイランでは税制の構造が大きく異なる点は、中東地域の政治・経済構造を理解するうえでも重要な視点といえるでしょう。

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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