「事業計画の可視化」と「第三者の視点」が会社を強くする
では、なぜ申請という行為そのものが生産性向上につながるのでしょうか。研究では、その理由として主に2つの要因があるとしています。
1.「事業計画書」で自社のビジョンが可視化される
持続化補助金の申請においては、「事業計画書」の作成が必須です。
売上や生産性を高めるために、自社の課題や目標、施策、数値計画を言語化する作業は、自社の戦略を改めて整理・分析するきっかけとなります。こうした整理のプロセスが、結果として企業の強みを磨くことにつながるのです。
先行研究でも、戦略的な計画策定がタスク遂行能力を高め、競争力の向上につながることが示されています。
2.専門家からの助言やサポートを受けることができる
また、小規模事業者持続化補助金の申請者は、日本商工会議所(JCCI)や全国商工会連合会(CFSCIJ)などの支援機関から、事業計画に関する助言やコンサルティングを受けることができます。
内部リソースが限られがちな中小企業にとって、こうした専門家からの客観的なフィードバックはきわめて貴重です。多くの経営研究においても、外部の視点が中小企業の成長要因となることは広く指摘されています。
とりわけ効果が顕著だった「業種」は…
さらに研究では、産業別の分析も行われており、補助金申請が特に成果につながっていたのは「サービス業」であることがわかっています。
なお、ここでいうサービス業には、インフラや通信、物流、卸売、金融、不動産、学術、宿泊、娯楽、教育、医療、複合サービスなど幅広い分野が含まれます。反対に、製造業や建設業では効果が限定的でした。
サービス業は、人のスキルや経験に支えられている部分が大きく、戦略の整理や外部の意見を取り入れることが業績に影響しやすい業種です。だからこそ、申請の過程で行う計画の可視化や専門家からの助言が、結果として生産性向上に強く作用した可能性があると考えられます。
自社を成長させるための「新たな視点」
この研究は、中小企業の成長戦略を考えるうえで、新たな視点をくれるものです。小規模事業者持続化補助金の本当の価値は、資金そのものよりも、
・戦略の言語化
・専門家の助言
・経営課題の可視化
といった「申請プロセス」にあるのではないか――。
自社を軌道に乗せるための第一歩は、「資金調達」に躍起になることよりも、まず自社の現状とビジョンを整理し、具体的な事業計画をつくることにあるのではないでしょうか。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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