相続税の計算では、被相続人の借金などを差し引く「債務控除」が認められています。そのなかに「葬式費用」が含まれることは広く知られていますが、どこまでの支出が控除の対象になるのかを正確に理解している人は多くありません。香典返しは控除できない一方で、会葬返礼品や通夜振る舞いは認められるなど、葬儀に関する支出は内容によって相続税上の扱いが大きく異なります。本記事では、相続税法や国税庁通達、さらに国税不服審判所の裁決事例を踏まえながら、「葬式費用」として債務控除できる支出とできない支出の境界線を、実務の流れに沿って整理していきます。
審判所の判断は…
吉田課長「審判所の判断は?」
おおむね次の(1)~(3)の理由を挙げて、相続人の主張を退けました。
1.「三日目の仏事」は、初七日等の仏事と同様に、死者の追善供養のためのものと解されること。
2.実際にも葬式とは別個の仏事として行われたと認められること。
3.「三日目の仏事」が、葬式当日と同じ日に行われたことが葬式費用と認める理由にならないこと。
吉田課長「初七日の法事の費用とする具体的な証拠は?」
初七日の法事の費用か否かが争われた事例は、紹介した裁決事例以外にも、平成10年6月12日の裁決事例があります。
これらの裁決事例では、次の(1)、(2)の事実が認定されています。これらの事実があれば、初七日の法事の費用に該当すると考えることになります。
(1)初七日の法事を開催することを、あらかじめ招待者に案内状を送付していること。
(2)招待者は、香典とは別に「御仏前等」として金員を持参していること。
多田 雄司
税理士
多田雄司税理士事務所
所長
1972年3月慶應義塾大学経済学部卒業。77年12月税理士試験合格。79年1月多田雄司税理士事務所開業。
現在、租税訴訟学会副会長、日本税務会計学会学顧問、東京税理士会会員相談室相談員(面接担当、法人税)、東京税理士会大森支部相談員。
著書には、『外形標準課税の申告実務ガイド(税務研究会出版局)』、『法人税申告の実務全書(編共著、日本実業出版社)』、『合併・分割の会社法、会計、法人税の実務(税務経理協会)』、『詳解国際税務(共著、清文社)』などがある。
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