「香典返し」が葬式費用にあたらない理由
吉田課長「相続人は、香典を出した参列者に対し、後日香典返しをすることがありますよね。これは、『葬式費用』には含まれないんですか?」
そうですね。日本では、香典をいただいた方に対して返礼品を贈る慣習があります。この返礼品の購入費用が「香典返戻費用」です。前掲4.(1)にあるとおり、この香典返礼費用は葬式費用には含まれず、控除できません。
香典の受取人は相続人です。民法上、相続人は参列者から「香典」という名目で金品の贈与を受けたことになります。そのため、本来であれば「贈与税の課税対象になるのではないか」という問題が生じます。
吉田課長「香典は故人を悼む気持ちを表したものですよね。だったら、贈与税の対象外なのではないですか?」
この点について、国税庁は次のように示しています。
つまり、香典は社交上の儀礼として社会通念上相当と認められるため、贈与税は課税されません。
吉田課長「相続人が受け取った香典に贈与税がかからないことと、香典返戻費用の扱いがどう関係するのですか?」
香典返戻費用とは、香典を受け取った相続人が香典を出した参列者に返す返礼品の購入費用のことです。これが葬式費用に含まれない理由は、香典収入に贈与税を課税しない取り扱いとのバランスを保つためです。
つまり、香典に贈与税をかけない代わりに、相続税では香典返戻費用を債務控除の対象から外している、という整理になります。
このように、通夜や告別式で一律に渡す「会葬返礼品」と、香典を出した方に後日返す「香典返し(香典返戻費用)」は目的が異なるため、相続税上の扱いも異なります。
