葬式費用はどこまで相続税で控除できるのか――相続税で認められる支出・認められない支出の決定的違い【税理士が解説】

葬式費用はどこまで相続税で控除できるのか――相続税で認められる支出・認められない支出の決定的違い【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税の計算では、被相続人の借金などを差し引く「債務控除」が認められています。そのなかに「葬式費用」が含まれることは広く知られていますが、どこまでの支出が控除の対象になるのかを正確に理解している人は多くありません。香典返しは控除できない一方で、会葬返礼品や通夜振る舞いは認められるなど、葬儀に関する支出は内容によって相続税上の扱いが大きく異なります。本記事では、相続税法や国税庁通達、さらに国税不服審判所の裁決事例を踏まえながら、「葬式費用」として債務控除できる支出とできない支出の境界線を、実務の流れに沿って整理していきます。

「死亡届」提出の手数料も「葬式費用」に含まれる

(5)市区町村長への死亡届出書の提出

吉田課長「被相続人が亡くなると、市区町村長に死亡届を提出する必要がありますね(5)。この手数料は葬式費用にあたりますか?」

 

はい。死亡届を提出する際には、医師が発行する「死亡診断書」を添付する必要があります。

 

また、被相続人が亡くなると、(11)の火葬に進むことになりますが、火葬を行うためには「火葬許可証」の交付を受けなければなりません。そして、この火葬許可証を取得するためにも、死亡届の提出が必須です。

 

したがって、死亡届出書の提出に必要となる死亡診断書の発行手数料は、葬式費用として認められます。

 

吉田課長「なるほど。(6)の親戚や知人への死亡通知も、葬式費用に含まれるのでしょうか」

 

被相続人が生前に所属していた会社や団体がある場合は、連絡を受けた団体側が関係者に通知(=連絡)することが多いでしょう。親戚に対しては、相続人が行うのが一般的です。

 

ただし、いずれの場合も電話代など、ごくわずかな費用負担で済むことがほとんどです。そのため、実務上は葬式費用として計上しないケースが大半です。

通夜当日も、さまざまなお金がかかる

(7)通夜の実施

吉田課長「通夜の当日は、さまざまな出費がありそうですね(7)」

 

はい。通夜を執り行う際には、お手伝いをしてくれる方々にお礼として「心付け」を渡すことが一般的です。この心付けも葬儀に関連して支出するもののため、葬式費用に含めることができます。

 

支出を証明するには、(4)の僧侶の派遣の場合と同様に、お手伝いをしてくれた方の名簿と、支払った金額を記録したメモを残しておく必要があります。また、当日に文房具などを購入した場合は、その領収書も保存しておきましょう。

 

なお、(9)の告別式でも、通夜と同様の出費が生じる場合には、同じ取り扱いとなります。

 

(8)参列者への食事提供、会葬返礼品の提供

吉田課長「通夜では、参列者に対して食事を出しますよね。これも葬儀費用にあたりますか?」

 

はい。通夜では、参列者に食事を振る舞う「通夜振る舞い」が行われます。この通夜振る舞いの費用も、葬式費用として相続財産の価額から控除できます。日本の葬儀では、通夜振る舞いは当然の慣行と考えられているためです。

 

また、通夜や告別式では、参列者がお帰りになる際に「会葬返礼品」をお渡ししますが、この返礼品の購入費も葬式費用として計上できます。

 

前掲3.(2)では、「葬式に際し施与した金品で、被相続人の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用」は、葬式費用に含まれるとされています。これは、会葬返礼品の購入費を指します。

 

通夜や告別式に参列した方には、香典の有無にかかわらず、感謝の気持ちとして一律に渡すため、その購入費は葬式費用として認められています。

 

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