葬式費用はどこまで相続税で控除できるのか――相続税で認められる支出・認められない支出の決定的違い【税理士が解説】

葬式費用はどこまで相続税で控除できるのか――相続税で認められる支出・認められない支出の決定的違い【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税の計算では、被相続人の借金などを差し引く「債務控除」が認められています。そのなかに「葬式費用」が含まれることは広く知られていますが、どこまでの支出が控除の対象になるのかを正確に理解している人は多くありません。香典返しは控除できない一方で、会葬返礼品や通夜振る舞いは認められるなど、葬儀に関する支出は内容によって相続税上の扱いが大きく異なります。本記事では、相続税法や国税庁通達、さらに国税不服審判所の裁決事例を踏まえながら、「葬式費用」として債務控除できる支出とできない支出の境界線を、実務の流れに沿って整理していきます。

これはOK?これはダメ?…具体的な「葬式費用」の線引き

吉田課長「身近な人が亡くなってから葬儀を済ませるまでさまざまな出費が発生するイメージがありますが、具体的にどれが『葬儀費用』にあたるのでしょうか?」

 

では、仏式による葬儀のプロセスを通して葬式費用の範囲を確認していきましょう。まずは前提となる一般的な葬儀の進行を整理します。

 

葬儀は、主に次のような流れで進みます。

 

(1)被相続人の死亡

(2)葬儀社に葬儀の運営を依頼

(3)葬儀社による斎場、霊柩車などの手配

(4)お寺への通夜や告別式への僧侶派遣の依頼

(5)市区町村へ「死亡届出書」の提出

(6)親戚、知人への死亡の通知

(7)通夜の実施

(8)参列者への食事提供、会葬返礼品の提供

(9)告別式の実施

(10)火葬場へ移動

(11)遺体を荼毘に付す

(12)火葬場に参加した人に対する食事提供

(13)解散

 

吉田課長「こうして項目に分けると、出費が発生する場面はこんなに多いものなんですね」

 

そうなんです。では、(1)から順番に、それぞれの場面で発生する出費と、その区分をみていきましょう。

 

まず、被相続人が亡くなると、一般的には葬儀社に運営を依頼し(2)の葬儀社が全体の進行を取り仕切ります。そのひとつが、(3)の斎場や霊柩車などの手配です。葬儀社に支払う手数料は葬儀に直接関係する費用ですので、当然ながら葬式費用に該当します。

 

(4)お寺への通夜や告別式への僧侶派遣の依頼

吉田課長「通夜、告別式を行う際には、お寺に僧侶の派遣を依頼しますね(4)」

 

はい。葬儀では僧侶による読経などが必要となるため、お寺には「お布施」や「戒名料」、「読経料」などの名目で支払いを行います。これらも葬式費用として扱われます。

 

また、葬儀会場がお寺以外の場合に、派遣される僧侶の交通費を負担することがありますが、その交通費も葬式費用に含めることができます。

 

なお、これらの支払いについては領収書が発行されないことが多いと思われます。葬式費用の支出は原則として領収書をもって証明しますが、お寺のように領収書を発行しない相手方の場合には、支払った金額や日時をメモしておきましょう。これが、葬式費用として認められる証拠となります。

 

次ページ「死亡届」提出の手数料も「葬式費用」に含まれる
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