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すれ違う、熟年夫婦の価値観
「うちは老後資金に困っていない」それが、佐藤正男さん67歳の長年の実感でした。
神奈川県内の戸建てで妻の和子さんと2人暮らし。正男さんの年金は月14万円、和子さんは月9万円。世帯で月23万円の年金収入があり、退職金は1,800万円。派手なことはできなくとも、老後を不安なく過ごすには十分な数字です。
だからこそ正男さんは、余裕を持つことが大切だと考えていました。お金の心配をせず、家族にはできることをしてあげたい。そんな価値観でした。
その考えが色濃く表れたのが、次女の恵さん38歳が実家に戻ってきたときです。離婚を機に帰省し、しばらく身を寄せたいといわれたときも、正男さんは迷いませんでした。
「大変だったな。ゆっくりしたらいい」
恵さんと2人で外食に出かけ、洋服を買い、気晴らしになればと小旅行も企画しました。誕生日には少し高めのプレゼントも用意しました。老後資金はある。娘の再出発を応援するくらい、なんでもない。正男さんはそう信じていたのです。
一方で、和子さんの感覚は違っていました。和子さんは結婚以来ずっと家計を預かり、現役時代と同じように日々の支出を管理してきた人です。退職しても、その感覚は変わりません。年金生活に入ったからこそ、先が長いからこそ、出費には自然と神経が向きます。
娘が戻ってきてから、食費は確実に増えました。電気代やガス代も上がりました。正男さんが娘と出かけるたびに、外食代や交通費が積み重なっていきます。
一つひとつは致命的な金額ではありません。しかし、積み上がる速度が、和子さんには不安でした。

