前回は、長期と短期で大きく異なるインターンシップの特徴について説明しました。今回は、「本気の学生」だけが集まる長期インターンシップのプログラムを紹介します。

長期インターンシップの学生はスタッフという位置付け

私の会社が利用しているG-netが提唱しているのは長期実践型インターンシップの「ホンキ系インターンシップ」と、学生が経営者の右腕として働く「社長に弟子入りプログラム」で、社内や社会を変えたいと思う経営者とともに、学生が本気になってプロジェクトに挑戦することで自らを磨く教育プログラムです。

 

一般的なインターンシップとの最も大きな違いは、期間の長さです。一般的な日本のインターンシップは約2週間の短期がほとんどですが、「ホンキ系」は半年から1年半という長期にわたります。2週間しかいない学生に責任のある仕事を任せることはできません。長期間だからこそ達成できることがあるのです。

 

通常、短期間の職場体験では学生は〝お客さん〟の立場ですが、長期インターンシップでは社内のスタッフとして活躍します。受け入れ企業として気をつけなければならないのは、学生がホンキなので、企業側もホンキでなければならないということです。

 

「社会貢献」や「採用の一環として」といった目的ではなく、真剣に事業上の目標を定め「プロジェクトの達成」や「社内の人材育成力向上」を目指すことが必要です。

 

長期インターンシップに臨む学生はみな高いモチベーションを持ち、企業にやってきます。本人たちは「自分は決して優秀ではない、普通の学生だ」といいますが、その潜在能力は高く、第一線で活躍し、輝きを放つようになる原石です。そんな学生たちのことを、私は「スーパー大学生」と呼んでいます。

 

[図表1]参加学生数・参加率

(注1)「実施状況」は単位認定されるインターンシップと単位認定されないインターンシップに参加した学生数(いずれか又は両方に参加した学生数)の合計。(注2)参加学生数は延べ人数(特定の資格取得に関係するものの中で1人で複数の実習に参加した場合等)文部科学省HP「平成26年度大学等におけるインターンシップ実施状況について」より作成
(注1)「実施状況」は単位認定されるインターンシップと単位認定されないインターンシップに参加した学生数(いずれか又は両方に参加した学生数)の合計。
(注2)参加学生数は延べ人数(特定の資格取得に関係するものの中で1人で複数の実習に参加した場合等)
 
文部科学省HP「平成26年度大学等におけるインターンシップ実施状況について」より作成

「本当に熱意のある学生だけ」を受け入れる

インターン生受け入れの流れを説明しましょう。まず、学生はG-net主催の「インターンフェア」に参加し、その後、コーディネーターによる「キャリア面談」を受けます。インターンシップによって何を得たいのか、どんな行動を起こしたいのかをヒアリングし、そのうえで希望するインターン先の企業を選定するのです。

 

ヒアリングした内容によって、「ホンキ系」には合わないと判断された場合には学生団体への参加や留学など、インターン以外に挑戦するステージへと導く場合もあります。この選別を経るため、企業に来るのは本当に熱意のある学生に絞られます。

 

インターンシップへの参加が決まった学生は、エントリーシートを作成して、受け入れ企業の担当者立ち会いのもとで面接を受けます。不合格の場合には別の企業にエントリー、もしくは別のプログラムへと移行していきます。ここでも学生の意欲が測られるのです。

 

このように、やりたいといえば誰でも参加できるわけではないことが、人材の質を高めています。企業にとっては途中で辞められてしまっては困りますから、ここがひとつの関門になっているのです。こうして、書類審査と面接で合格した学生によって長期インターンシップが始まります。

 

まるで本物の採用活動のようですが、それほど学生も企業も真剣なのです。

 

この制度を活用するようになって、私の会社の売り上げは右肩上がりとなり、念願だった海外進出も達成しました。インターン生からアルバイトとなり社員として入社してくれた学生もいたので、若い人材が集まり、事業はどんどん活発になっています。

 

それほど、長期インターンシップで来てくれた学生たちは私の会社を変えてくれました。

 

[図表2]インターンシップに参加して役に立ったこと

本連載は、2016年11月12日刊行の書籍『事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略

事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略

佐藤 均

幻冬舎メディアコンサルティング

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