前回は、長期インターン生を受け入れる際の「経営者の役割」を説明しました。今回は、長期インターンシップに参加する学生を「戦力」に育てる方法を見ていきます。

学生に共通するのは「やる気だけは十分ある」という点

モチベーションの高い人材が揃うインターン生ですが、ただ学生に任せっぱなしだったり、逆に自社の枠に当てはめて単純作業だけを任せるなど、経営者が使い方を間違えればいい結果は生まれません。

 

社会人としての経験も実力もない。でも、やる気だけは十分すぎるほどある。これが、長期インターンシップに参加する人たちに共通する特徴です。

 

長期実践型インターンシップをコーディネートする関東のある機関は、1997~2013年の間に1200社にインターンシッププログラムを導入し、2800人を超える大学生を参加させました。

 

こういったコーディネート機関では、向上心が高く、チャレンジ精神を持った学生を集めています。

 

「自分を成長させたい」

「プロジェクトで成果を出したい」

「自分に何ができるかを試したい」

「自分の専門分野で実績を積みたい」

「起業するための経験を積みたい」

 

そんな展望を持った学生たちを集めています。

 

さらに、起業やイノベーションに興味を持ち、

 

「いつかはUターンして、地元を盛り上げたい」

「地域活性、コミュニティづくりなどに興味がある」

「現場への飛び込み力をつけたい」

「いい意味で〝出る杭〟になりたい」

 

といった志を高く持った学生たちを対象としたプログラムを発信しています。

 

そのため集まる学生たちも、将来は地域や社会の課題解決に力を注ぎたいと思っている若者たちばかりなのです。

「学生の心に刺さるミッション」を与える

そこで長期インターンシップで成果を出すためには、そうした学生の心に刺さるミッションをいかに用意できるかということにかかっています。つまりアルバイトの延長のような作業的な業務ではなく、彼らが心からワクワクするような責任もやりがいもある魅力的なプロジェクトを用意することが重要です。

 

たとえば、私の会社に来てくれた1期生のNさん。名城大学経済学部の2年生でした。半年間で達成したことはJAPANブランド補助金申請から採択決定、採択後の経費、書類管理まで担当。さらに海外への送金まで、一人でやってのけたのです。

 

世界最大級の家具の見本市「ミラノサローネ」(イタリア)に向けた製作や、世界中からバイヤーが集まる「中国広州交易会」の準備など海外進出にも大きく貢献しています。3期生のIさんは愛知大学経営学部の女子学生で、会計士を目指していました。

 

その知識を活かして、工事台帳制度導入、原価管理、現金出納帳などの経理業務と、電話日報システム導入、顧客管理改善、物販表作成、仕入れ先100社・仕入れ価格の整理といった業務改善を実践してくれました。

 

彼女は期間終了後もアルバイトとして通い続け、2016年4月に入社し、現在は会社の中核としてバリバリ働いています。

 

これだけ意欲的で実力のある学生が集まってくれるのは、「長期」という縛りと、コーディネート機関の選定によるものでしょう。

本連載は、2016年11月12日刊行の書籍『事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略

事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略

佐藤 均

幻冬舎メディアコンサルティング

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