労基署に通報された企業がとるべき対応とは
企業は労基署の立ち入り調査(臨検)を拒むことはできません。臨検の際、帳簿・書類の提出や尋問を拒んだり、虚偽の書類を提出・虚偽の陳述をしたりすることは違法です。臨検を受ける際は、以下の知識を身につけて、しっかり対応しましょう。
■事前に資料を用意
労働基準監督官の臨検では、労働条件や労働環境に関する資料の提出を求められます。
例えば、残業代未払い疑惑での臨検の場合は以下のような資料です。
②労働者名簿
③就業規則
④雇用契約書、労働条件通知書
⑤賃金台帳
⑥勤怠管理システムやタイムカードの記録
⑦労使協定(36協定届)
⑧有給休暇の取得状況に関する管理簿
労働基準監督官が事業場へ訪問した際に、このような資料をスムーズに提示できるよう用意しておきましょう。
■質問に対して誠実に回答
労働基準監督官は、提示を受けた資料をチェックした上で、資料を見ただけでは分からないことについて事業者に質問をします。その際、事業者としては、資料に書いていない事情についても、実態に沿って誠実に回答することになります。労働基準監督官の質問に対して虚偽の回答をすることは違法であり、刑事罰の対象となるので注意が必要です。
■是正勧告書・指導票への対応
立ち入り調査の結果、法令違反や改善が望ましい事実が確認されると、その重大性に応じて是正勧告書または指導票が交付されます。いずれの場合も、企業はその内容にしたがって指定された期日までに是正して是正・改善報告書を提出する必要があります。
是正・改善報告書には、①問題の認識、②改善措置の内容、③再発防止策を詳細に記載します。そのために、まずは労働基準監督官からの指摘事項を正確に理解して、根本原因を分析します。そのうえで、具体的な改善計画を策定して、さらに実施状況を定期的に確認する体制を構築していくことになります。
■速やかに弁護士に相談する
①臨検の予告を受けた場合
もし労働基準監督官から臨検の予告を受けた場合、その時点で企業法務に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。臨検の前に相談すれば、弁護士から、臨検当日の注意点や事前準備についてアドバイスを受けたり、臨検に同席してもらったりすることができます。
臨検に弁護士が同席することで、論点の整理や今後の対応について細かく打ち合わせが可能となります。また、労働基準監督官の指摘する事項が法令上正しいかその場で確認したり、法令にのっとって反論したりすることができます。
さらに、反論できる事情がないかを弁護士の視点からも探したり、労基署に提出した資料には表記されていないが会社として反論したい事情を、労基署に主張することもあります。
②是正勧告を受けた場合
是正勧告を受けた場合にも、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。是正勧告は労働基準法等に明確に違反している場合であるため、対応を怠ると送検されて刑事罰を受けるリスクが高いからです。
弁護士が対応することで、労基署から指摘された事項をどのように改善すれば良いか、専門的な見地から提案や助言をすることができます。弁護士が事業場の実態に合わせた是正方法や社内体制の整備について提言しサポートすることによって、実効的で内容の充実した是正・改善報告書を作成できます。
