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タイとマレーシアが「人気移住先」になったワケ
エンジニア、ウェブマーケター、YouTuber…。インターネットが繋がっていれば「どこに住んでいても仕事ができる」人が増えています。そうであれば、節税しやすい国に住みたくなるのではないでしょうか。
節税しやすい移住先としてはシンガポールやドバイが有名ですが、シンガポールはビザ取得のハードルが非常に高く、ドバイは砂漠気候が厳しいうえ日本から遠いという難点があります。
一方、タイやマレーシアは、後述するように比較的取得しやすいビザがあります。また、タイやマレーシアは、所得税・法人税は決して低くはありませんが、国外所得に対して課税しない制度を取っていますし、タックスヘイブン対策税制がありませんから、節税しやすいのです。
さらに、日本から6~7時間で行かれる近さも手ごろで、ショッピングモールやタワーマンション(コンドミニアム)、インターナショナルスクールなどが揃っているのも、移住しやすさにつながっています。
タイとマレーシア、節税の点で違いは?
タイの個人所得税は累進で最高35%、マレーシアの個人所得税は累進で最高30%と、日本よりは低いですが、シンガポールやドバイと比べると税率を高く感じる人もいるでしょう。ところが、タイ/マレーシアにはタックスヘイブン対策税制がないうえ、国外所得に課税されない制度が取られています。
そのため、タイ/マレーシア居住者が株主・取締役としてオフショア法人を設立し、その法人名義で業務を行う等の形を作れば、税金を抑えることは容易です。ここまでは、タイとマレーシアはほぼ同じです。
タイ/マレーシアの違いとしては、タイは「国外所得であってもタイに持ち込むと所得税が課される」のに対して、マレーシアは「国外所得であってもマレーシアに持ち込むと所得税が課される」制度が実施延期されているため、マレーシアに持ち込んでも個人所得税が課されない、という点があります。もっとも、日本人がタイ移住する場合について言えば、タイの制度であっても大きな不都合はありません。
タイとマレーシア、人気のビザを比較
移住先の国で雇用してもらえる当てがない場合、自分で会社を設立し、その株主・取締役としてビザ申請するのが一般的です。しかし、タイとマレーシアの場合、もっと手軽なビザがいろいろあります。
(1)タイのビザの種類
タイプリヴィレッジ(旧タイエリート)ビザが長年にわたって一番人気です。一言で言えば、お金を出して買えるビザです。かつて販売されていた永久ビザ(転売可能)は、いまでは新規販売はされておらず、転売市場に残るだけですが、いまでも、5年ビザを65万バーツ(約325万円)から買うことができます。しかも、申請から1ヵ月程度で取得できるという簡単さです。
最近人気急上昇なのが、タイ国外の企業向けに仕事しながらタイ居住する人向けのDTVです。いわゆるデジタルノマドビザです。このDTVの特徴は、政府費用がわずか5万2,000円と非常に安いこと、そして、申請から半月も経たずに取得できる例が多いくらい、取りやすいことです。
(2)マレーシアのビザの種類
MM2Hビザが長年にわたって一番人気のビザです。ただ、取得条件のハードルは上がっており、今では、マレーシア国内での定期預金15万米ドル(約2,250万円)以上、マレーシア国内で60万RM(約2,160万円)以上の不動産購入が求められます。
近時、マレーシア移住希望の富裕層に人気があるのがPVIPです。その要件としては、マレーシア国外での収入、マレーシア国内での定期預金があります。
具体的には、マレーシア国外での収入が①月収4万RM(約144万円)以上、または、②年収:48万RM(約1,728万円)以上あることが必要です。また、マレーシア国内の銀行で100万RM(約3,600万円)以上の定期預金が必要です。そのうえで、プログラム参加費として、主申請者は20万RM(約720万円)、帯同家族はこの半額を支払う必要があります。
MM2HもPVIPも高すぎると感じる方には、デジタルノマドビザがあります。これは、マレーシア国外の企業からの受託・リモートの仕事をする場合に取得できるビザで、前述した、タイのDTVに似ています。
しかし、①DTVは取得まで約半月なのに対して、マレーシアデジタルノマドビザは取得まで約4ヵ月かかる、②DTVは5年有効なのに対して、マレーシアデジタルノマドビザは2年有効と短い、という弱点があります。
(3)教育移住者向けのビザ
ここまで述べてきたビザより簡単なビザが、①お子さんをタイ/マレーシアの学校(インターナショナルスクール)に通わせる場合に取れる生徒ビザ、②その保護者が取得できる保護者ビザです。
ビザ取得のための金銭的負担が非常に軽いため、お子さんをインターナショナルスクールに通わせたい方にとっては有効でしょう。
バンコクとクアラルンプール、町は違う?
外務省の資料によると、バンコク居住の日本人は5万人以上、クアラルンプール居住の日本人は9,000人弱です。
バンコクの町は、サイアム地区・シーロム通り・スクンビット通りという中心地区に都市機能が集中し、外に離れるにつれて、郊外住宅地になっていくという構造です。
そして、日本人は、スクンビット通りの真上を走っている高架電車の駅で言うならば、アソーク駅~プロンポン駅~トンロー駅~エカマイ駅~プラカノン駅~オンヌット駅の近くに住んでいる人が非常に多いです。
このエリアの中心であるプロンポン駅の近くには、駅を囲むように3つの大きなショッピングモールがありますが、休日にこの辺りを歩いていると誇張抜きで1分に1組くらい日本人家族を見かけます。
※ 赤い線で囲ってあるのがスクンビット通り周辺
一方、クアラルンプールは、有名なペトロナスツインタワーのあるKLCC、繁華街のブギッビンタンなどの都心の中心地があり、この近辺に住む日本人もいますが、日本人家族が住むエリアはモントキアラなど郊外に散らばっています。
ちなみに、ペトロナスツインタワーからモントキアラまでは約12㎞、東京で言うと東京駅から自由が丘駅くらいの距離があります。しかも、鉄道は通っていません。Grab(配車サービス)で車を呼んで行けば、30分から60分かかります。
モントキアラにお住まいの家庭は、お子さんもモントキアラのインターナショナルスクールに通学、モントキアラでショッピングというライフスタイルになります。
ちなみに、バンコクとクアラルンプールの違いを首都圏の方に分かるようにたとえるなら、バンコクの場合、渋谷~恵比寿~目黒に集中して日本人エリアがあり、そこからインターナショナルスクールに通う、渋谷のショッピングモールでショッピングをするというイメージです。
一方、クアラルンプールの場合、二子玉川、流山おおたかの森といったエリアに住み、インターナショナルスクールもショッピングもその中で完結するといったイメージです。
教育移住するならバンコク? それともクアラルンプール?
バンコクもクアラルンプールも、インターナショナルスクールは多く、ご子息にバイリンガル教育を受けさせるのに最適です。
バンコクの場合、日本人エリアから通える範囲内にインターナショナルスクールが多いため、前述の日本人エリアに住みながら通学させているご家庭が多いように思います。一方、クアラルンプールの場合、そもそも日本人エリアが分散していますが、都心ではなく、郊外のニュータウンに住み、そのニュータウンにあるインターナショナルスクールに通学させているご家庭が多いように思います。
さらに、海外移住後の日本語教育にも違いが出てきます。
バンコクの場合、インターナショナルスクールに通わせているご家庭も、バンコク中心部の日本人居住エリアに住んでいることが多く、しかも、バンコクの日本人人口は非常に多いので、日本人向けの塾・日本語で活動するスポーツチームなども非常に多く盛んです。一方、クアラルンプールの場合、日本人人口がそれほど多くないため、また、日本人の居住地区が一か所に集中していないため、日本人向けの塾・日本語で活動するスポーツチームなどはバンコクに比べると盛んではありません。
そのため、海外移住後、英語教育だけでなく日本語教育も同時並行で行いたいという場合、バンコクの方が有利かもしれません。
小峰 孝史
OWL Investments
マネージング・ディレクター・弁護士
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