(※写真はイメージです/PIXTA)

非上場株式の相続や贈与では、どの評価方法が適用されるかによって、負担する税額が大きく変わります。この点、「財産評価基本通達(評価通達)」では、株主の立場に応じて「原則的評価方式」と「特例的評価方式(配当還元方式)」が使い分けられていますが、その判断は議決権割合という形式的な基準に委ねられています。近年この仕組みを利用し、原則的評価方式を回避するスキームが実務の現場で広がりつつあります。このスキームの中身と効果、また評価通達の問題点について、2025年12月に『富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】』を刊行した八ツ尾順一氏がわかりやすく解説します。

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非上場株式は「一物二価」…高評価が税負担に直結

相続や贈与で取得した財産は、国税庁が示す「財産評価基本通達(評価通達)」に基づき評価するのが一般的です。

 

この評価通達によれば、取引相場のない株式(以下「非上場株式」という)の評価には、原則的評価方式(純資産価額方式・類似業種比準方式・併用方式)と、特例的評価方式(配当還元方式)の2つがあります。

 

そして、どの評価方式が適用されるかは株主の立場によって異なり、算出される株価にも大きな差が生じます。

 

このように課税実務では、非上場株式は「一物二価」となっています。つまり、同じ非上場株式であっても、売り手と買い手では税務上の時価が異なるということです。

 

経営者をはじめ、会社に影響力を及ぼすことのできる株主(同族株主)は「原則的評価方式」により評価され、会社に対する支配力を持たない株主(非同族株主)は「特例的評価方式」が適用されます。

 

そして一般に、原則的評価方式による株価は会社の実態(純資産・利益水準など)を反映するため、配当金だけを基準とする特例的評価方式による株価よりも高く算出され、結果的に税負担が重くなることになります。

 

このように、両方式の評価額はかい離が大きいことから、近年では原則的評価方式の適用を避け、特例的評価方式を利用できるようにするスキームが広がりつつあります。

3つすべて当てはまらないとNG…スキーム活用の“厳しい条件”

すべての「同族株主」がスキームを活用できるわけではない

なお、本稿で紹介する株式評価のスキームは、「同族株主に対する評価方法の例外規定」を利用したものです。つまり、同族株主であっても、次のすべての条件を満たす場合に限り、「特例的評価方式」を適用することができます。

 

1.その株主(同族株主)の株式取得後の議決権割合が5%未満であること

2.同族株主のなかに「中心的な同族株主」が存在すること

3.課税時期に、その株主が会社の役員でないこと

 

上記2.の「中心的な同族株主」とは、下記の場合をいいます。

 

1.本人および直系血族

2.兄弟姉妹、配偶者および一親等内の姻族

3.上記1~2に該当する者が25%以上議決権を保有する法人が、その評価会社の25%以上の議決権を有している場合

 

次ページ条件にあてはまらなくても「特例スキーム」が使える?
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