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「同じ値段で売ったのに課税される」譲渡所得の基本構造
譲渡所得は、資産を売却した際の「売却価額」から、「取得費」と「譲渡費用」を差し引いて計算されます。
ここで重要なのが取得費の考え方です。取得費には、購入時の価格がそのまま用いられるわけではありません。建物や車両など、時間の経過や使用によって価値が減少すると考えられる資産については、保有期間中に減価償却が行われ、その分だけ取得費が圧縮されます。
たとえば、1億円で購入した住宅を考えてみましょう。
内訳が土地4,000万円、建物6,000万円で、建物が木造住宅であった場合、法定耐用年数は22年です。22年が経過すれば、建物部分の取得費は原則としてゼロになります。
この住宅を22年間居住した後、1億円で売却したとすると、取得費として認められるのは土地の4,000万円のみとなります。
結果として、譲渡所得は6,000万円となり、課税対象となります。
「売値と買値が同じ=利益ゼロ」という感覚が、税務上は通用しない典型例といえるでしょう。
減価償却しなくてよい資産とは?
もっとも、すべての資産が減価償却の対象になるわけではありません。
税法上、減価償却を行わない資産とは、原則として「時の経過または使用によって価値が減少しないもの」とされています。具体的には、歴史的価値や希少価値を有し、かつ代替性のない資産がこれに該当します。
代表例として挙げられるのが、ピカソやゴッホといった著名画家の絵画、あるいは文化勲章受章者による美術作品などです。
実務上は、美術品について「1点100万円以上」であれば、減価償却の対象としないという取り扱いが、一応の目安とされています。
