(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産や高額資産を売却した際、「買った値段と同じで売れたのだから、利益は出ていない」と考える人は少なくありません。しかし、日本の税法は、そのような直感的な理解をそのまま受け入れてはくれません。取得から売却までの期間に応じて行われる「減価償却」が、譲渡所得の計算に大きな影響を及ぼすからです。この考え方をめぐり、限定生産の高級車フェラーリの売却を巡る事案が国税当局と争われ、大きな注目を集めたことがありました。譲渡所得の基本構造を整理したうえで、この“フェラーリ事件”が投げかける税法上の論点を読み解いていきます。

ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

『データで読み解く「日本経済」のリアル【季節&気象・マインド・おもしろジンクス編】』
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン (編集)

データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】』
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン (編集)

富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
八ツ尾順一(著)+ゴールドオンライン(編集)

 

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

「同じ値段で売ったのに課税される」譲渡所得の基本構造

譲渡所得は、資産を売却した際の「売却価額」から、「取得費」と「譲渡費用」を差し引いて計算されます。

 

ここで重要なのが取得費の考え方です。取得費には、購入時の価格がそのまま用いられるわけではありません。建物や車両など、時間の経過や使用によって価値が減少すると考えられる資産については、保有期間中に減価償却が行われ、その分だけ取得費が圧縮されます。

 

たとえば、1億円で購入した住宅を考えてみましょう。

 

内訳が土地4,000万円、建物6,000万円で、建物が木造住宅であった場合、法定耐用年数は22年です。22年が経過すれば、建物部分の取得費は原則としてゼロになります。

 

この住宅を22年間居住した後、1億円で売却したとすると、取得費として認められるのは土地の4,000万円のみとなります。

 

結果として、譲渡所得は6,000万円となり、課税対象となります。

 

「売値と買値が同じ=利益ゼロ」という感覚が、税務上は通用しない典型例といえるでしょう。

減価償却しなくてよい資産とは?

もっとも、すべての資産が減価償却の対象になるわけではありません。

 

税法上、減価償却を行わない資産とは、原則として「時の経過または使用によって価値が減少しないもの」とされています。具体的には、歴史的価値や希少価値を有し、かつ代替性のない資産がこれに該当します。

 

代表例として挙げられるのが、ピカソやゴッホといった著名画家の絵画、あるいは文化勲章受章者による美術作品などです。

 

実務上は、美術品について「1点100万円以上」であれば、減価償却の対象としないという取り扱いが、一応の目安とされています。

次ページ限定生産フェラーリは「減価しない資産」か
カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録