(※写真はイメージです/PIXTA)

トランプ政権が成立させた大型減税法「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」は、表向きには「国民全体に恩恵をもたらす減税政策」として掲げられています。ところが、その中身をくわしくみていくと、富裕層には大きな利益がもたらされる一方で、低所得層には関税による物価上昇や社会保障の削減といった重い負担がのしかかる構図が浮かび上がります。減税、関税、移民政策が同時に進むなか、アメリカ社会はいま、深刻な分断に直面しています。

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「OBBBA」で恩恵を受けるのは誰か?

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ政権の減税政策「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」について、「誰が勝者で、誰が敗者か」を分析した記事を掲載しました。

 

記事によると、今回の減税によって、2025年度の確定申告では納税者全体で約1,250億ドル(約19兆円)の還付が見込まれているとしています。さらに2026年度には、源泉徴収の減額により約800億ドル(約12兆円)の恩恵が生じるとされています。

 

一見すると、国民全体が潤う政策のように思えます。

 

しかし、その裏で進められている関税政策の影響は深刻です。「トランプ関税」による物価上昇圧力は着実に強まっており、その負担は最終的に消費者へと転嫁されます。WSJなどの試算では、関税によって消費者が負担するコストは約1,000億ドル(約15.5兆円)に達すると見込まれています。

 

さらに低所得層にとっては、フードスタンプ(SNAP)やメディケイドといった社会保障制度の削減が重くのしかかります。これらによる負担増は、合計で約1,350億ドル(約21兆円)規模にのぼるとの指摘もあります。

所得上位30%以外は所得減…減税策で国内の「分断」深刻

結果として、今回の減税策は富裕層には大きな恩恵となる一方で、低所得層には実質的な生活悪化をもたらす政策になりつつあります。

 

特に関税による物価上昇の影響は、低所得者層ほど深刻です。低所得層は可処分所得の多くを「サービス」ではなく「物」に費やす傾向があるため、日用品や食料品の値上がりは生活を直撃します。

 

関税とOBBBAを合わせて考えると、所得上位30%までは一定の恩恵が残るものの、それ以外の多くの納税者にとってはマイナスの影響が上回ります。

 

ある統計では、所得下位10%では年間の実質賃金が2,160ドル(約33.5万円)減少する一方、所得上位10%では9,670ドル(約150万円)の恩恵を受けるとの試算もあります。

 

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