「8兆円」は氷山の一角か。海外資産の少なすぎる“表の数字”と、専門家がみる「100倍の見えないマネー」の正体【確定申告時の背景を国際税理士が解説】

「8兆円」は氷山の一角か。海外資産の少なすぎる“表の数字”と、専門家がみる「100倍の見えないマネー」の正体【確定申告時の背景を国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

国外に資産を保有する日本人は、実際にはどれほど存在しているのでしょうか。国税庁が公表した最新の国外財産調書では、申告総額が8兆円を超えたとされています。しかし、国際的な金融口座情報の自動交換が進む現在、この数字をそのまま実態と受け止めてよいのかは疑問が残ります。CRS(共通報告基準制度)によって把握される海外口座情報の規模、アメリカが制度に参加していない現実、そして自主申告に依存する税制の限界──。確定申告シーズンを迎えたいま、国外財産をめぐる「申告数字」と「実態」との乖離を検証します。

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税務当局の広報色が強まる確定申告シーズン

いよいよ確定申告のシーズンに入りました。

 

国税庁は毎年この時期になると、個人に対する税務調査の実態や摘発事例を積極的に公表します。その目的は明確で、「脱税は必ず発覚する」「正直な申告が必要だ」というメッセージを納税者に強く印象づけることにあります。確定申告期は、税務行政にとって最大の広報期間とも言えるでしょう。

 

こうした空気感を後押しするかのように、メディアでも税務当局を題材としたコンテンツが目立ちます。

 

テレビ朝日では、東京国税局資料調査課を舞台にした連続ドラマが放送され、松嶋菜々子さんや大地真央さんらが出演しています。国家権力が税金をごまかす者を追い詰めていく姿を描くことで、視聴者に「税務署はすべてを把握している」という印象を与える内容となっています。

国外財産調書とは何か

この確定申告期に、国税庁が毎年必ず公表する資料の一つが「国外財産調書の提出状況」です。

 

国外財産調書とは、個人が海外に5,000万円を超える財産を保有している場合、所得の金額に関係なく、確定申告時にその内容を税務署へ報告しなければならない制度です。

 

制度の趣旨は明確で、海外に資産を移すことで課税を免れようとする行為を抑止し、課税の公平性を確保することにあります。導入当初から、富裕層を中心に注目されてきた制度でもあります。

 

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