株式相場が史上最高値付近で推移し、主要株価指数における銘柄集中度が過去最高水準に達するなか、投資家は、リスク資産の高バリュエーション、株式と債券の高相関、およびテールリスクの増大といった環境に直面しており、「オルタナティブ投資」の重要性が高まっています。本記事では、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが、インカム・分散投資・成長性の3つの観点から、2026年の「オルタナティブ投資」展望について解説します。
複数要因が“追い風”に…2026年の「金投資」展望
2025年の金市場は強気相場(ブルサイクル)が広がるなかで一服する形となっていますが、安定的な現物需要、力強いETFへの資金流入、中央銀行の継続的な買い入れによって支えられています。
金価格が1オンス=5,000ドルに到達する可能性が注目されますが、バランスの取れた見方では、支援材料と抑制要因の双方が影響を及ぼす複数のシナリオが示唆されます。
◆過去最高に迫る力強い需要
2025年第3四半期の金の現物需要は、過去最高水準の金価格にもかかわらず前年比3%増加し、史上最高を更新しました。この堅調な動きは、ETF投資家、地金・コイン購入者および中央銀行の需要によって支えられ、価格に敏感な宝飾品需要の弱さを相殺しました。
特に新興国の中央銀行は構造的な需要源としての役割を維持しており、第3四半期の買い入れの回復および価格の下支えに寄与しました。2025年通年の買い入れは、年間約1,000トンという近年のトレンドには届かない可能性があるものの、依然として過去最高水準に迫る力強い需要が見込まれます。
ETFへの資金流入も引き続き力強く、年初来の流入額は米ドルベースで2020年通年の記録をすでに上回り、トン数ベースでも2020年にほぼ匹敵する水準となっています(図表2)。
不確実なマクロ・政策環境が“恩恵”に
金は、マクロ経済の不確実性、積極的な財政政策、世界的な債務水準の高止まりといった環境から引き続き恩恵を受けています。こうした状況下では、金は債務の貨幣化や通貨価値の下落(ディベースメント)に対する戦略的ヘッジとして機能します。
FRB(連邦準備制度理事会)による利下げの継続と量的引き締め(QT)終了への期待は、実質金利を低下させる要因となり、金保有の機会コストを一段と引き下げます。実質利回りの低下は、分散投資およびヘッジ手段としての金の魅力をさらに高めることにつながります。
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、約半世紀にわたり、機関投資家、金融プロフェッショナル、そして個人投資家に、より良い成果をもたらしてきた。
インデックス運用やETF(上場投資信託)分野における早期からの取り組みを含め、同社の投資手法は、市場に裏付けられた運用ノウハウと、投資家ニーズへの継続的な対応を基盤としている。
2025年6月末時点において、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが関与する運用資産残高は5兆米ドルを超えており、60カ国以上の顧客に対してサービスを展開している。その中には、グローバル規模での戦略的パートナーシップを通じた提供も含まれ、コスト効率に優れた幅広い投資手段を提供している。ETFの運用資産総額1兆6,898.3億米ドルを含み、そのうち約1,160.5億米ドルは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・ディストリビューターズ・エルエルシー(「SSGA FD」)がマーケティング・エージェントを行っているSPDRの金の資産となっている。SSGA FDはSSGAの関連会社で、すべての運用資産残高は監査前の数値。
なお、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が行う資産運用関連業務のブランド名である。
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連載【ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント】金市場を徹底分析